蹴りたい背中 綿矢りさ

2007年4月20日初版発行 2012年12月30日35刷

 

裏表紙「“この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい” 長谷川初実は、陸上部の高校1年生。ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンであるにな川から、彼の部屋に招待されるが…クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。史上最年少19歳での芥川賞受賞作。◎解説=斎藤美奈子

 

女子高生長谷川初実とにな川はクラスに友だちがいない余り者。ある日、にな川が女性ファッション誌を授業中に見ているのに気づいた初実は、その雑誌に写っていたモデルと会ったことがあった。それを告げられたにな川は初実に興味を示して放課後に家に来るよう誘う。にな川の家で初美は彼がオリチャンというモデルのオタクであると知り、オリチャンと無印良品で出会った日を思い出す。陸上部に所属していた初美が怪我した所を洗っている最中、にな川からオリチャンと出会った場所を案内してほしいと頼まれる。再びにな川の家へ行くと、オリチャンの顔と別の写真をつぎ合わせた作品を見つけ、にな川の背中を蹴りとばした。4日ほど学校を休んだにな川のお見舞いに行った初美は、徹夜でオリチャンのライブのチケットをゲットするために並んで風邪を引いていた。チケットが4枚取れたので、にな川から初美以外にも声を掛けようと言われて中学以来の友人だった絹代と3人でライブに行った。ライブ後、にな川はオリチャンに近づこうとして警備員から止められた。帰りが遅くなり、初美と絹代がにな川の家に泊まる。オリチャンを今日一番遠くに感じたというにな川の背中を初美は再び蹴りたくなった。背中に足の爪先が当たり、にな川が振り返るが、初美は知らぬふりをした。

 

なぜ初美はにな川の背中を蹴りたくなったのだろうか? 恋愛感情とは言えない、別のいじりたくなった気持ちからだと思うが、それを実行するところが面白い。とは言え、その後は普通に恋愛感情に移行していくのではないだろうか?

ところで、これが爆発的に売れた理由は何だったのだろうか?