世界を変えた100のスピーチ下  コリン・ソルター 大間知知子訳

2020年9月30日初版第1刷発行

 

表紙裏「JFKマーティン・ルーサー・キング・ジュニアモハメド・アリネルソン・マンデラニール・アームストロングマーガレット・サッチャーミハイル・ゴルバチョフバラク・オバマ、スティーブン・ジョブズ、マララ・ユスフザイ、マーク・ザッカーバーグ、オブラ・ウィンフリーほか、世界で最も影響力のある人物たちによる、聴く者を奮い立たせるようなスピーチを収録。困難に挑戦し、社会通念を打ち破り、歴史の流れを変えた、感動的で考えさせられるスピーチのコレクションである。」

 

051 アール・ウォーレン アメリカの公教育における人種分離を違憲とする判決

「公教育の場において、『分離すれども平等』という原理は成立しない」1954年5月17日

052 ニキータ・フルシチョフ スターリン全体主義に対する最初の公式な批判となった「個人崇拝について」1956年2月25日

053 ハロルド・マクミラン 南アフリカ連邦で行われ、帝国の時代の終わりを告げたイギリス首相の「変革の風がこの大陸を吹き抜けている」という演説は白人支配者たちに言葉を失わせた

054 エルビス・プレスリー 記者会見「除隊して懐かしのわが家へ」「ここに戻れて俺がどんなに幸せか、きっと君らにはわからないよ」1960年3月7日

055 フィデル・カストロ 4時間半続いた国連最長の演説「わが国を支配するのは大使館ではない。支配するのは国民なのだ」1960年9月26日

056 マーヴィン・グリフィス=ジョーンズ 『チャタレー夫人の恋人』わいせつ裁判 ジョーンズ検事の冒頭陳述は戦後の世相について何もわかっていないことを明らかにし、無罪判決が出たことで本の売上は急上昇した

057 ジョン・F・ケネディ 就任演説 「国家があなた方のために何をしてくれるかではなく、あなた方が国家のために何ができるかを問うてください」1961年1月20日

058 ジョン・F・ケネディ 「われわれは月へ行くことを選びます」1962年9月12日

059 ジョン・F・ケネディ 「イッヒ・ビン・アイン・ベルナリー(私はベルリン市民だ)」

1963年6月26日

060 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア 「私には夢がある。いつの日か私の幼い4人の子どもたちが、肌の色によってではなく、人の中身によって評価される国に住むという夢が」1963年8月28日

061 ハロルド・ウィルソン 「白く輝くテクノロジーの炎」イギリスの労働党党首ウィルソンは科学を労働党のものにすることに成功し政権に返り咲き首相を4期務めた 1963年10月1日

062 モハメド・アリ 「俺は誰よりも偉大だ!」1964年2月25日

063 マルコムX 「投票か弾丸か」1964年4月3日

064 ネルソン・マンデラ 「私はその理想のために死ぬ覚悟はできている」1964年4月20日

065 ジョン・レノン 「僕たちはイエスより人気がある」1968年8月12日 この発言に憤ったチャップマンの銃弾で10年後に倒れた

066 ティモシー・リアリー 「ターンオン、チューイン、ドロップアウト」 ニクソン大統領からアメリカ一危険な男と呼ばれ、LSDがまだ合法だった時代にLSDによる精神開放を説いたリアリーは80年代に入ってコンピューターは90年代のLSDだと宣言し、「ターンオン、ブートアップ、ジャックイン」(電源を入れ、起動し、没入せよ)と新しい世代に訴える。

067 アール・ウォーレン ラビング対バージニア州裁判判決 1967年6月12日、自宅のベッドで就寝中に逮捕・投獄されたラビングの逮捕理由は夫婦の一方が白人でもう一方が有色人種であることだけだった。ウォーレンはバージニア州の婚姻の選択の自由を制限する反異人種間混交法は許されないと判断した。

068 ユージーン・マッカ―シー マッカーシー上院議員は、ベトナム戦争を、1967年12月2日、「全世界の人々の真摯な意見の支持を得ることができない」と糾弾する演説を行った。

069 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア 「私は山の頂に行ってきた」 1968年4月3日、人種差別に我慢の限界に達した市の清掃作業員によるストライキを全面的に支援する演説を行う。

070 イノック・パウエル 血の川 1968年4月20日イギリス保守党の会合で移民法は白人に対する差別を助長すると主張し、生涯、この国の将来を憂慮する一人にすぎないと主張し続け、今日でも極右派のヘイト集団のよりどころにされている。

071 ニール・アームストロング 「これはひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」1969年7月21日

072 マックス・B・ヤスガ- 「ここはアメリカだ。彼らにフェスティバルをやらせましょう」世界最大のロック・フェスティバルを実現に導いたヤスガ―の1969年7月21日の演説

073 ベティ・フリーダン 女性の平等のためのストライキ 1970年5月20日、全米女性機構の会長を退く際の演説で「男性ならもっと高い給料をもらえるはずの仕事をしているすべての女性は仕事をやめましょう!」と性別を限定したストライキを訴えかけ、「これから新しい歴史を作る仕事をあなた方に託して、私は別れを告げようと思います」と呼びかけた。

074 ジョン・ケリー 反戦ベトナム帰還兵 1971年4月22日、パープルハート章を3度受賞した功績によって早期帰還が認められ、上院外交委員会で初めて罪もない市民に向けられたアメリカ兵の残忍行為を生々しく衝撃的な描写で証言した。

075 ハリー・ブラックマン ロー対ウェイド裁判判決 1973年1月22日、「個人のプライバシーの権利は中絶の決定を含む」と裁定したブラックマンの多数意見(22年6月24日にアメリ最高裁はこの判決を覆してしまったのには驚いた)

076 リチャード・ニクソン 辞任演説 1974年8月8日 民主党本部のあるウォーターゲートビル侵入事件への関与、政敵や反対運動家を陥れる汚いやり口が明るみに出て任期途中で辞任を余儀なくされた唯一の大統領

077 ハーベイ・ミルク 「君たちが彼らに希望を与えなければいけないんだ」 1978年6月25日 ゲイであることをカミングアウトして選挙で初めて公職に選ばれた

078 マーガレット・サッチャー 「このレディは方向転換などしません」 1980年10月10日 

079 ロナルド・レーガン 「この壁を取り壊しなさい!」 1987年6月12日 この演説は2年後の東西間の行き来が許されるようになった後に再評価され、記念すべき外交上の業績として称賛された

080 ネルソン・マンデラ 「私たちはあまりにも長い間自由を待ちわびてきた」 1990年2月11日 「私は白人の支配と闘い、黒人の支配と闘ってきた。私はあらゆる人々が協力し、平等な機会を与えられて共に生きられる民主的で自由な社会の理想を抱いてきた。私はその理想のために生き、達成したいと願っている。しかし必要とあれば、私はその理想のために死ぬ覚悟はできている」

081 ミハイル・ゴルバチョフ 辞任演説 1991年12月25日 ソ連崩壊後、プーチンの指導のもとで復興を果たしたロシアの現状をゴルバチョフは強く批判し、「政治はますます民主主義のまがい物になり果て」、あらゆる権力が「行政機関の手に集中している」と指摘

082 マヤ・アンジェロウ 「朝の鼓動に」 1993年1月20日 クリントンの大統領就任式のために詩人アンジェロウは詩を朗読した

083 クリス・パッテン 「イギリス的な特徴を備えた、まぎれもない中国の都市」 1997年6月30日 サッチャー内閣の大臣だったクリス・バッテンは香港返還式典で香港最後の総督として演説した

084 チャールズ・スペンサー 「現代においてもっとも追い回された人」 1997年9月6日、ダイアナ元妃が亡くなった6日後に執り行われた国民葬で弟が読んだ弔辞

085 ビル・クリントン 「私は罪を犯しました」 1998年9月11日

086 トニー・ブレア アイルランド議会での演説 1998年11月26日 トニー・ブレアはイギリス首相としてアイルランド議会で初めて演説

087 ジョージ・W・ブッシュ 全米に向けた演説 2001年9月11日 「われわれは一致団結してテロとの戦いに勝利します」「偉大な国民が偉大な国を守るために立ち上がりました」

088 オサマ・ビンラディン アメリカ合衆国に対する演説 2004年10月29日 アメリカ国民に向けた長いビデオメッセージの中で自分が首謀者だと認める発言を放送した

089 バラク・オバマ 民主党全国大会基調演説 2004年7月27日 赤いアメリカも碧アメリカもない、と演説し、全国的に有名に。

090 スティーブ・ジョブズ 「今日、アップルは電話を再発明する」 2007年1月9日 

091 ビル・ゲイツ ハーバード大学卒業式の式辞 2007年6月7日 世界一の大富豪になったビル・ゲイツは卒業生たちに「活動家になってください。大きな不平等に取り組んでください。仕事上の成功だけでなく、世界のもっとも深刻な不平等にどう対処したか・・同じ人間であるという以外、共通点が何もない遠い世界の人々のために何をしたかによって、自分自身を判断してほしいと願っています」と呼びかけ、ギビング・プレッジと呼ばれる啓蒙活動をウォーレン・バフェットと開始した。現在まで3650億ドルの寄付が表明された。

092 バラク・オバマ 「イエス、ウィ・キャン」 2008年11月4日 史上初の非白人の大統領選挙における勝利演説の中でこの言葉を7回繰り返した

093 マララ・ユスフザイ 「すべての子どもに教育を受ける権利を」 2013年7月12日

094 エミリー・ドウ スタンフォード大学レイプ事件裁判陳述書 2016年6月2日 判決は犯人に群刑務所の禁固6か月と保護観察処分という甘いものだったが、読み上げられた陳述書はSNSで広がり3日で800万人に閲覧され、多くの被害者の共感を集め、裁判官はオンラインリコール嘆願130万人の署名により罷免された。

095 スティーブン・ホーキング 人工知能が人類に与える影響 「AIは人類にとって史上最高の、または最悪の出来事になるだろう」と2016年10月19日講演。

096 アシュレイ・ジャッド 「私はいやな女」 女優のアシュレイ・ジャッドはニーナ・ドノヴァンの詩『いやな女』を演説で披瀝しトランプの女性蔑視を批判した

097 マーク・ザッカーバーグ ハーバード大学卒業式の式辞 2017年5月25日

098 ジェームズ・コミ― オバマによりFBI長官に任命されたコミ―はトランプにより任期途中で解任され、上院公聴会における証言で怒りを隠さなかった 

099 イーロン・マスク 人類は多惑星種になる 2017年9月28日 第68回国際宇宙会議で5年以内に火星に無人宇宙船を送る計画を発表し「5年は私にとってものすごく長い」と語る

100 オプラ・ウィンフリー 「彼らの時代は終わりです」 2018年1月7日、ゴールデングラブ賞授賞式でセシル・B・デミル賞を受賞したスピーチで演説。