反骨《上》鈴木東民の生涯 鎌田慧

2012年12月10日発行

 

 東民が中学2、3年の頃、幸徳秋水らの『大逆事件』が起こり、この事件は東民の思想に強い影響を与えた。東民が社会主義を知り、それを自分の思想の道標とし、生涯の伴侶と思い定めるに至った契機がこの『大逆事件』だった。東民は、第二高等学校を6年かけて卒業し、28歳で東京帝国大学を卒業した。高校では弁論部に入部し、社会主義思想を研究し始めた。大学では吉野作造に公私にわたり世話になり、東大新聞を牛じるまでになった。東民は宮澤賢治と同じ謄写屋『文信社』でバイトして知り合った。