20世紀の戦争 日中戦争Ⅰ 解説:荒井真一

2001年3月15日初版発行

 

目次

一章 満洲事変

二章 第一次上海事変

三章 盧溝橋事件

四章 第二次上海事変

   解説

 

・1931年年9月18日、日本軍の謀略による鉄道爆破事件をきっかけに日本は中国の東北部を占領し、ここにかいらい国家として満州国を樹立した。いわゆる「満州事変」である。

・1932年1月、列国の目を満州の独立工作からそらす日本軍の謀略により日本人托鉢憎が殺される事件が起った。これをきっかけに日本の海軍部隊は中国軍との市街戦に突入した。3月2日に戦闘が中止されるまで、わづか2ヵ月ほどの戦争であった。

・1937年7月7日、北京郊外慮溝橋での日中両軍の衝突事件が発端となって日中戦争が始まった。

・盧溝橋にはじまった戦火は、8月13日、上海に飛び火し日中全面戦争に発展した。蒋介石は中国軍の三分の一を、国際都市であり経済的にも重要な上海戦線に投入した。日本の海軍陸戦隊も、本国からの渡洋爆撃と陸軍の増援に助けられ、上海戦は未曾有の激戦となった。戦闘は3ヵ月あまりつづき、日本軍の死傷者のみで4万、中国人のそれはその4~5倍に達したといわれる。上海戦ののち日本軍は重点を華中にうつし首都南京を目ざすようになる。

 

豊富な写真を全面に立てて、文章での説明を最小限に絞っている。共同通信社がニューヨークの新聞社デーリーニューズ社の協力で世界中の戦争記録写真2万5000点を入手した。日本にはほとんど残っていなかった貴重な歴史記録として、中国、旧満州関係写真の総枚数92ファイル、計906枚。このうち満州は22ファイル、194枚。これらの写真が掲載されているように思うが、これほど日中戦争に焦点をあてて多数の写真が掲載された書籍は初めて見た。とりわけ生きた赤ん坊の上に銃弾に倒れた母親が覆い被さっている1枚の写真は戦争の残酷さをたった1枚であるが、見事に抉り出していた。