歴史を応用する力 宮城谷昌光

2019年3月25日初版発行

 

裏表紙「中国歴史小説の第一人者が、光武帝と呉漢、項羽と劉邦、商の湯王と周の文王の生涯をたどりながら、ビジネスや人間関係における考え方のヒントを歴史からどう学ぶかを、具体的に平易な語り口で解説する。伊藤忠商事元会長、丹羽宇一郎氏との対談も収録。文庫オリジナル」

 

・伝説的には、古代の聖王、帝舜が平民出身だといわれますが、実態がわからない伝説上の聖王なので、中国において、農民、平民からはじめて天下人になった人ということ、この劉邦が最初だ、という認識でよい

・王宮の料理人をやめ、隠遁していた伊尹のことを知った湯王が、三顧の礼を以てかれを迎えた。劉備諸葛亮を迎える時にも使われたが、こちらは二番目

・中国の歴史においては基本的なことですが、子どもが複数いる場合、長男を伯、次男を仲、三男を叔、として四男か末の子どもは季と呼ばれることが多い。力が拮抗していることを伯仲というのも、ここからきている。

・後楽園の名前は、『宋名臣言行録』に出て来る范仲淹(はんちゅうえん)の「先憂後楽」に由来する(士は天下の憂いに先立ちて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむべし)。

 

随所にきらりと光る古典の引用がちりばめられ、それを元に著者が中国古典小説をいかにしてこれまで編み上げて来たかを知る良書です。まだ読んでいない著者の作品が結構あることに気づけたので、随時読み込んでいこうと思います。