アラビアン・ナイト《下》 ディクソン編 中野好夫訳 

1961年12月16日第1刷発行 2001年9月18日新版第1刷発行 2014年4月24日新版第11刷発行

 

解説によると、ガランのフランス語訳は、その後『アラビアン・ナイト』が各国で普及するうえで最も大きな影響が与えたが、ガランの訳本にはアラビア語の原本にはない“アラジンと魔法のランプ”“アリ・ババと40人の盗賊”の話が付け加えられている。ガランが個人的に収集した話だと言われている。代表的なこれらの物語が原本になかったというのも大変興味深い。とあった。へー。

 

アリ・ババと40人の盗賊

ペルシアに住む貧乏な働き者アリ・ババは、森でまきを作り、ロバの背に載せて町へ出て売っていた。ある日、森の中で40人の盗賊の頭が「開け、ゴマ」との呪文を唱えると、岩の戸口が開き、盗賊たちが入っていくのを目撃した。盗賊たちが外に出ていき、頭が「閉じろ、ゴマ」というと戸口がしまった。盗賊たちがいなくなると、アリ・ババは、自分で呪文を唱えて中に入った。洞窟の中には宝物の山があった。これらをロバの背中に積んでアリ・ババは家へ帰った。アリ・ババは兄カシムから財宝の一件を全て正直に話すと、カシムは独り占めしようとして一人で洞穴に入って行った。ところが開ける呪文を忘れてしまい出られなくなったところを戻ってきた盗賊たちに見つかり殺されてしまった。カシムがいつまでも帰ってこないのを心配したアリ・ババは、翌日、洞穴内でカシムの死体を発見した。アリ・ババは、カシムの死体を持ち帰って密葬をすませた。洞穴から金貨と死体が亡くなったことに気付いた盗賊たちは捜査を始め、アリ・ババの家を見つけると、頭はロバを連れた旅の油商人に変装して家の中に入り込み、寝静まるのを待ってアリ・ババを殺そうと企てたが、容器の中に隠れている盗賊たちはモルジアーナの機転で全員油で煮殺されてしまった。頭は単身アリ・ババの家から逃げ去った。頭はアリ・ババの息子の店の近くに住み着み、親しくなりアリババにお近づきになると、隠し持った短剣でアリ・ババを殺そうとした。が、またしてもモルジアーナに正体を見抜かれて刺し殺されてしまった。モルジアナは奴隷の身分からアリ・ババの息子の妻になり、アリ・ババの家は末永く栄えた。