新装版 鬼平犯科帳(四)2⃣ 池波正太郎

2006年7月12日第1刷発行

 

裏表紙「はっと、平蔵が舟の中へ身を伏せた。荒屋敷の潜門がしずかに開き浪人風の男があらわれ、あたりに目をくばっている。(これほどの奴がいたのか…)平蔵の全身をするどい緊張がつらぬいた。凄絶な鬼平の剣技を描く「血闘」をはじめ「霧の七郎」「密通」「夜鷹殺し」など全八篇。」

 

密通(後編)

 平蔵は、お米と小助が隠れている百姓宅を見つけ出し、天野屋敷に伝えた。用心と天野らが小助をきざ斬ろうとした時、用心は天野に刃を向けた。なんと天野は用心にお米を抱かせてくれと頼みこみ、用心がこれを飲んだ。お米が自暴自棄になったのはいうまでもない。一連の顛末を平蔵はお久栄に聞かせる。お米と小助は夫婦となった。

 

血闘

 密偵に自らしてくれと平蔵の前に現れたおまさが誘拐された。平蔵が誘拐されたおかさを救出するために与力を呼び寄せようと使いを出すが、4時間経っても誰も来ない。しびれを切らして平蔵一人が単身で乗り込み、畳を剥がしておまさを床下に隠し、浪人やらを次々と懲らしめていくが、多勢に無勢。さてもの平蔵もここまでかというタイミングで与力たちが駆け寄った。使いが馬に蹴られて意識不明となり平蔵の救出が遅れていた。おまさの父鶴の忠助は、平蔵が銕と呼ばれていた時代、寝ている継母の髪をときほぐしバッサリと切り落とし、銕とは大の仲良しだった盗賊だった。

 

あばたの新助

 同心佐々木新助が役目と違う深川で女と逢っているところを目撃した平蔵。仲人を務めた平蔵は新助の行動を怪しんだ。お才という女は網切の甚五郎という大泥棒の女房で新助は嵌められた。巡回を隙を狙って盗賊が動き出した。巡回を平蔵一人の胸のうちにしまうと盗賊の動きは止まる。内通者がいると踏んだ平蔵は新助に浮気はやんだかと声をかけた。驚愕した新助は驚き慌てて飛び出してしまう。お才を平蔵に突きだすしかないと思いつめ、新助はお才と会うが、お才が逃げ出し、お才も新助も斬り付けられて死んでしまう。平蔵は新助は最近の盗賊を追い掛けていたと嘘の弁解で新助の名誉を守り、甚五郎の件は迷宮入りする。