2021年5月20日発行
目次
第5章 土佐藩―不機嫌な「勝者」
第6章 幕末史四つの謎に迫る
・島津斉彬と久光、生麦事件(イギリス人殺害事件)、薩英戦争と和解、薩長同盟、大政奉還
・長宗我部元親、山内一豊と徳川家の厚遇、山内容堂、土佐勤王党と岡田以蔵・武市半平太、勝海舟の平和革命論→龍馬を通じて松平春嶽に、龍馬と後藤象二郎の船中八策を容堂に。土佐勤王党の生き残り中岡慎太郎は武力倒幕論、近江屋事件(龍馬・慎太郎殺害)、小御所会議での慶喜外しに対する容堂の舌禍(岩倉・西郷の逆襲)と鯨海酔候
・孝明天皇の急死には①病死説②毒殺説(疱瘡はほとんど平癒していたのに激変したのは砒素を盛られたから。天脈拝診日記により毒殺説が有力に。岩倉具視黒幕説も)
・坂本龍馬暗殺の黒幕(佐々木只三郎が単なる暗殺団のリーダー、西郷は太っ腹の英雄という単純なイメージで捉えるべきでない、と著者はいう)。
・倒幕の密勅(徳川家や会津藩、桑名藩を追悼せよ)は偽勅であったと断定する著者。これを書いたのは玉松操、それを書かせた黒幕は岩倉具視だったことが明らかになっているとも。明治維新の影には深い闇が横たわっている。
倒幕の密勅が偽書であり、黒幕が岩倉具視である、孝明天皇毒殺の黒幕も岩倉具視である、坂本龍馬暗殺の黒幕は西郷である、などと言う第6章を読むと、事の真偽はどうなのか、どうしてこの論点がきちんと広く人々に分かるように白黒をはっきり決着させていないのか気になるところだ。