日本史を暴く 戦後の怪物から幕末の闇まで 磯田道史

2022年11月25日初版 2023年8月30日9刷

 

帯封「2023年上半期No.1ベストセラーランキング トーハン、日販 新書・ノンフィクション部門」

表紙裏「歴史には裏がある。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。明智光秀織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録...。古文書と格闘し続ける著者が明らかにした、戦国、江戸、幕末の「歴史の裏側」がここにある。」

 

目次

歴史には裏がある―まえがき

第1章 戦国の怪物たち

大仏を焼いたのは松永久秀か/久秀が大悪人にされた理由/信長は「地球は球体」をひろめた/明智光秀の出世術/光秀登場の黒幕/細川家に伝わる「光秀謀反」の真相/信長の遺体の行方/水攻めを許した毛利の事情/比類なき戦国美少年と淀殿/秀頼の実父に新候補/潜入失敗、忍者もつらいよ/家康がうけた外科手術/家康の築城思想

 

第2章 江戸の殿様・庶民・猫

三代・徳川家光の「女装」/甲賀忍者も勤め人/尾張藩主の連続死に迫る/「幻の忍術書・間林精要」発見/忍者のミッション・インポッシブル/赤穂浪士の「吉良の首切断式」/内匠頭の年賀状発見/漫画で考える災害史、女性史/女性の力で出来た藩/「丹後ちりめん」の誕生/江戸時代の猫寿命/猫に「ミカンの皮」は毒/カブトムシの日本史/浦上玉堂と松平定信の接点/江戸の「買春」価格は?/江戸期のグルメ旅行/座礁クジラは数千万円/殿様の警護マニュアル/鼠小僧は「義賊」にあらず/「最後の女性天皇」の譲位/大変だった譲位の儀礼/梅の宴から生まれた「令和」/新開発の退位儀式

 

第3章 幕末維新の光と闇

西郷隆盛、闇も抱えた男/幕末、公家の花見行/「コメ日本の圏外」が育んだ発想/京都へ単身赴任した仙台藩兵の日記/松平容保高須藩の謎/孝明天皇の病床記録/龍    馬の遺著か、『藩論』の発見/「薩長密談の茶室」を救う/日本人チョンマゲのやめ方/修学旅行の始まり/もみじ饅頭と伊藤博文

 

第4章 疫病と災害の歴史に学ぶ

ねやごとにも自粛要請/感染楽観で繰り返した悲劇/身代潰した「給付なき隔離」/感染症から藩主を守る/「サミット・クラスター」の韻/疫病下の粋な人助け/疫病史に照らせば中盤か/最古のマスク広告か/「江戸マスク」開発者二人の末路/江戸時代に「オミクロン」?/口と鼻でたどる日本文化史/西日本で地震連動の歴史/京都の震災復興、公家の苦闘/正常性バイアスは怖い

 

明智光秀を歴史に登場させた黒幕は細川藤孝である。戦国争乱で主君も領地も失った藤孝は、織田信長に出兵してもらい京都を奪還し、自分の領地も回復する作戦を考え、光秀の人物を見抜いて信長に送り込んだ。作戦は大当たりし、足利義昭の政権が樹立され、藤孝も信長から長岡京市の旧領地を回復してもあり、2万石程の領主に返り咲くことができた。

名古屋山三郎淀殿と不倫の密通をして秀頼の実父になったのではという噂が絶えないが、淀殿周辺の淫らな男女関係を理由に大量処刑された中の一人、中村小右衛門こそが実父なのか、それとも一連の管理責任を問われただけなのか、迫れる謎はここまである。

・家康は城は敵に取られるものと考えていたふしがあり、二条城は大きすぎると怒ったらしい。遠方に堅固な城を築くと、敵に取られた時に困るからである。