江分利満氏の優雅な生活 山口瞳

2009年11月10日第1刷発行 2015年1月25日第3刷発行

 

裏表紙「描かれているのは、昭和の年号とともに生きてきたサラリーマンのごく普通の日常に過ぎない。しかし、エッセイとも日記とも思えるスタイルと軽妙洒脱な文章を通して、それが大変な出来事の積み重ねであることが分かってくる。卓抜な人物描写と世態風俗の鋭い観察によって、昭和一桁世代の哀歓と悲喜劇を鮮やかに描き、高度経済成長期前後の一時代をくっきりと刻む。解説 小玉武

 

目次 しぶい結婚/おもしろい?/マンハント/困ってしまう/おふくろのうた/ステレオがやってきた/いろいろ有難う/東と西/カーテンの売れる街/これからどうなる/昭和の日本人 解説 秋山駿 ちくま文庫版解説 現代『徒然草』という流儀」

 

小気味良い文体である。第48回直木賞受賞作

川崎市の名産は何か。無花果である。無花果はどういう土地にできるか。わるい土地にできるのである。もし、それが川崎市でないとしたら、無花果はたいてい日の当たらない裏庭に植えるのである。裏庭に隆々と茂り大きな実をつける無花果とは不思議な植物ではないか。