人間はウソをつく動物である 保険調査員の事件簿 伊野上裕伸

2009年4月10日発行

 

裏表紙「興信所、バッタ屋、そして損害保険調査員。“日常生活では隠す傾向がある”これらの仕事を著者は約30年続けた。彼だけが体得できた『他人を疑い、自分が疑われない術』を本邦初公開!」

 

・保険金詐欺を巡り、次から次へと事件ものを解決してきた調査員の自慢話がワンサカと掲載されている。それにしても保険金詐欺絡みの事件がこれだけ多発しているとは。それを調査することを仕事にしている調査員だからこそ、様々な保険金詐欺事件が集まり、それを調査を通じて経験し、そこで得られた知識・経験は色々バリエーションに富み、貴重なものとなっている。ただ、あちこちに保険金詐欺事件が多発しているかのような印象を受けるが、何かあれば全部が全部保険金詐欺事件に絡むとは決して限らない。

・そういう事とは別に著者が色々蘊蓄を語るところはこれはこれで面白い。

交通事故の治療費については基本的に自由診療が優先され、自由診療分についての治療費の請求内容の審査は損保会社が行い、あわせて患者の治療が適切に行われているか、医療機関側の金儲けの手段に使われていないか、交通事故とは無関係な治療費が混入していないかといったことについて調べる必要が生まれる。このことから医療機関は損保会社に対して支払いを頼まなければならない弱みがあり、他方、損保会社も被害者である患者を出来るだけ早く完治させてもらわないと困るので、医療機関の協力が欠かせない。病院とは、医療機関と保険会社が治療費をどうするかで駆け引きをしている場である。