川あかり2⃣ 葉室麟

2015年2月1日第1刷発行

 

郡方見廻りの猪野伝助が松蔵を引っ立てた。伝助からこの宿が盗人宿の噂が立ち流れ星なる盗賊の定宿かも知れないと聞いた七十郎は、深夜、猿回しの猿からズシリと重い金の仏像を受け取り、流れ星の盗賊宿という話は本当かもしれないと思った。増田から七十郎に、甘利を早く討てとの催促と併せて、藩内で知られた剣豪佐野又四郎が行方不明で、頼母を切ったのは又四郎かもしれない、刺客を襲う恐れかもしれないとの手紙が届いた。仏像が盗まれたとして伝助が宿改めに訪れ、七十郎は彼等が流れ星の一味であることを確信した。豪右衛門は、仏像を盗んだのではなく取り戻したのだと言い、秘密を守るなら七十郎に迫る追手から七十郎を守り、刺客の役目が果たせるよう力を貸すと取引を持ち掛けた。牛小屋で七十郎の特訓が始まった。又四郎は自分が見張られていることに気付き、お若を人質に取り、七十郎に会わせろと求め、七十郎はお若を助けるために又四郎と対決した。そこで繰り出されたのが父から伝授された秘儀だった。おさとは七十郎に、仏像の真の持主が誰なのかを教えた。七十郎は彼等が盗賊から足を洗うという夢が実現するまで守るという約束をした。それは甘利との対決で七十郎が勝つという約束でもあった。そこに美祢が七十郎の前に突然現れた。