毒戦2 BELIEVER 2023年 監督ペク・ジョンヨル

アジア最大の麻薬組織の頂点に立つ謎の人物「イ先生」の正体は誰も知らない。韓国の麻薬取締局のウォノ刑事は長年イ先生を追い掛けていた。前作で「イ先生」を自称し逮捕されたブライアンは麻薬組織の一員ヨンナクにガス・バナーで背中を焼かれて酷い火傷を負った。ブライアンは最高級の麻薬ライカを押収され危機に陥った。そんな時、中国の麻薬組織の幹部でビッグナイフと呼ばれるソチョン(ハン・ヒョジュ)がブライアンの前に現れ、ライカを回収しに来た。ブライアンはヨンナクならライカを製造することが出来ると説明し、タイに行けば原材料もあるので、ヨンナクを見つけてタイに連行して欲しいと言う。ヨンナクは聾唖兄妹のドンヨンとジュヨンと一緒に麻薬の最高級ライカを製造する技術を持っていた。ブライアンはイ先生の腹心のソチョンとヨンラクを利用して自分がイ先生になるつもりだった。ソチョンはイ先生の娘だった。しかし自分よりもイ先生に信頼されているハリムを暗殺しかけたこともあった。ヨンナクは麻薬工場に潜伏してライカ製造中だったが、ビッグナイフはそこを襲撃した。この時ウォノも現場に駆け付けたが、銃撃戦となり部下のドクチョンは殉職し、ビッグナイフはヨンナクを連れてタイに連行した。ウォノは6か月の停職処分になり家族から詰られ、ウォノは単身でタイに向かった。ヨンナクの両親は25年前、幼いヨンナクを連れて密航船に乗り、イ先生から渡された水を飲んで息絶えた。コンテナの中で両親はヨンナクの前に腐臭を放っていた。ヨンナクは両親の復讐のためイ先生の居場所を探していた。12年前、ヨンナクはイ先生だと偽った科学者がビッグナイフとハリムに殺害される現場を目撃した。その場には偶然ブライアンもいた。イ先生は自分の偽者を許さず、偽物が現れたら腹心を送り込んで始末していた。ビッグナイフへの接触に成功したヨンナクはイ先生の居場所を聞き出そうとしたが、ビッグナイフはイ先生に裏切られ、ヨンナクとの格闘の挙句ヨンナクに殺された。死んだビッグナイフの携帯からイ先生がノルウェーにいることを突き止めたヨンナクだったが、ブライアン達に聾唖兄妹のドンヨンとジュヨンが人質に取られ、目の前でジュヨンの両目が失明させられ、ドンヨンの脹脛がバナーで炙られるのを見かねて、イ先生殺害に協力することを約束する。ヨンナクはノルウェーに渡り、イ先生に25年前の出来事を覚えているか尋ねるが、イ先生は覚えていなかった。ヨンナクはイ先生にソチョンや娘とその夫や孫娘を殺したことを伝えたが、イ先生はヨンナクに家族にならないかと言い、ヨンナクは彼より一瞬先に彼の頭を撃ち抜く。ブライアンはヨンナクが約束を守ったため兄妹を解放した。ウォノがある別荘を訪れると、そこにはヨンナクとドンヨンとジュヨンがいた。ヨンナクはウォノを呼び寄せている。ヨンナクとウォノはテーブルを挟んで向かい合い、ヨンナクは両親の腐臭がずっとその後も付きまとっている、イ先生を殺して目的を全て遂げても匂いは消えないと語った。2人は同時に銃を手にするが、一瞬ウォノの方が先にヨンナクの頭を撃ち抜いた。ウォノが別荘を出ると、今度はウォノが銃撃に倒れた。背後から撃ったのはドンヨンだった。ラジオでウォノの昇進ニュースが流れていた。ウォノが亡くなった直後にそのニュースは流れていた。

 

それにしても、ビッグナイフと呼ばれるカンクル役を演じた今回のハン・ヒョジュはヒール役に徹していた。ボサボサの髪にブツブツだらけの顔、ぶかぶかで汚い衣装を身にまとい、全身には虐待を受けた酷い傷跡が無数にあり、父から譲り受けた大きな四角い眼鏡がトレードマーク。ヨンナクが目撃した過去のカンクルの殺害シーンではナイフで男の首を滅多刺しして首を斬り落とし頭部を投げ捨てるという残虐な行為を演じ、ヨンナクとの死闘ではヨンナクの全身にナイフを突き刺し、ライカ製造技術を持つヨンナクをイ先生の下に連れて行くことでイ先生に取り入ろうとする姿は目つきが完全にいった狂人女そのもの。これまでの清楚なイメージと決別する覚悟の演技に脱帽するし、ある意味で感動を与える。