横浜事件とは、1942年以降いわゆる特高により、90名もの人が検挙され、30数名が起訴され、すべて有罪とされた冤罪事件について、第4次再審公判により、ようやく「実質無罪」の免訴判決が言い渡された事件のことである(2009年3月30日)。そしてその後の大島補償決定では特高による拷問や思想検事・思想判事の過ちを認定した画期的判決。この再審事件に携わった弁護士、ジャーナリストにより著された本書は、とてつもない時間と努力の末に、実質無罪を勝ち取ったことが記されている。権力の横暴は、許してはならない。しかし、それは口で言うのはやさしいが、それを実行するのは生半可なことではない、ということを、ひしひしと教えてくれる良書でした。