刑事裁判のいのち 木谷明

目次
 
 はしがき
 
 Ⅰ 裁判を知る 刑事裁判の役割
     世の中(社会)の決まりー法律と道徳
     民事裁判と刑事裁判
     罪刑法定主義
     刑事裁判の仕組みのあらすじ
     「『疑わしいときは被告人の利益に』の原則」の意味
     刑事裁判の目的ー「社会秩序の維持」と「人権の保障」のかね合い
     無実の人を罰しないために法律はどのような「仕組み」を用意しているか
     まだ不備な点ー証拠開示と取調べの可視化について
     おわりに
 
 Ⅱ 刑事裁判のいのち よりより刑事司法の実現のために
 
 刑事裁判で一番大切なことは何か
     無辜の処罰と不正義
     検察の不祥事と裁判所の役割
     公益の代表者としての検察官の責務
     弁護人としての最低限度の義務
     刑事事実認定における上告審の役割
     死刑制度は維持されるべきか
 
 強すぎる検察(検察官司法)と裁判員制度
     はじめにー「検察官司法」をいいあてる2つのエピソード
     「強すぎる検察」の実態
     検察官側を圧倒的優位にしてきた制度・慣行
     「検察官司法」の到達点
     裁判員制度の現実
     裁判員制度が「検察官司法」を変えるための条件
     おわりに
     【質疑応答】
 
 裁判官にもの申す!(周防正行監督&木谷明弁護士対談)
     -2012年6月30日「なくせ冤罪 ひらけ最新 6/16市民集会 記録三上英次」
 
 幕間エッセイ 私の少年時代
 
 Ⅲ 刑事裁判と命 死刑は本当に必要なのか
     はじめに
     私と死刑制度との関わり
     絞首刑は「残虐な刑罰」ではないのか
     死刑の存置理由(積極面)-①威嚇力・抑止力論と②被害者(報復)感情の満足論
     死刑の問題点(消極面)
     諸外国の状況
     死刑制度の積極・消極の理由の対比
     結論
 
 事件の概説
     足利事件飯塚事件/鹿児島の夫婦殺し事件/鹿児島の老夫婦殺し事件/志布志事件/東電女性社員殺害事件/永山基準名張事件/成田チョコレート缶事件/東住吉事件/光市母子殺害事件/永見事件/布川事件/福井事件(福井の女子中学生殺し事件)/松川事件/郵政不正事件(村木事件)
 
 あとがき
 
目次を列挙しただけで、元裁判官木谷明先生が、どのような刑事裁判を目指してこられたか、またどう取り組まれてきたかが、分かるような気がします。
無罪判決を書いても、上級審で破られることのなかった木谷元裁判官ならではの人間的な優しさと強さを少しでも学ぶことができた本でした。