牧口常三郎と新渡戸稲造 石上玄一郎

 当時東京大学英文学の主任だった外山正一教授と同大学文学部に入学した新渡戸稲造とのやり取りは新渡戸稲造の将来を予感させるものであり面白い。

外山教授の「農政学を専攻するための基礎として、経済学や統計学をやるのはいいとして、なぜ方面違いの英文学などを志す気になったのか?」との問に、稲造は、「そうですね、もし天が許すなら”太平洋の橋”になりたいと思います(略)私は及ばずながら将来、日本の文化を外国に伝え外国の文明を日本に普及する橋渡しの役割をつとめたいと申すのです」

名著『武士道』の著述は、もともと外国生まれのメリー夫人に、夫の祖国である日本の風習および日本人の思想をわからせるためのものだったのだ。

『武士道』は和訳の副題に「日本の魂―日本思想の解明」とあるごとく(略)四書五経のような漢籍から、わが匤の古典文学はむろんのこと、旧新約聖書ギリシャ神話、プルターク英雄伝、ギボンのローマ興亡史、タキツスの史書シェイクスピア、ダンテといったふうに古今東西の名著から縦横に引用しているから、外国人でもかなり教養の高い者でないと読みこなすことはむずかしい。

全編の結論として彼はいう「武士道は一の独立せる倫理の掟としては消ゆるかもしれない。併しその力は地上より滅びないであろう。その武勇及び文徳の教訓は体系として毀れるかもしれない。しかしその光明、その栄光は、これ等の廃̪̪̪址を超えて長く活くるであろう。その象徴する桜花の如く四方の風に散りたる後に尚その香気を以て人生を豊かにして人類を祝福するであろう・・・」と。

本書冒頭に、「創価教育六大指標」が提示されている。
自 1 感情の理性化 文
 2 自然の価値化 化
の 3 個人の社会化 の
個 4 依人の依法化 人
性 5 他律の自律化 格
  6 放縦の統一化