だから、あなたも生きぬいて 大平光代

2002年7月15日 第1刷発行

 

これ、本当に、実話ですか?凄い人ですね。

中卒、人生の坂を転がり落ちたのに、後に養父となる人と出会って立ち直り、29歳で司法試験に一発合格して弁護士に。転落するまでに、中学でのいじめ、教師の冷たさ、親友の裏切り、そのため割腹自殺未遂などなど、身につまされる話が展開された後、落ちるところまで落ちていった中でも、誰も自分にキチンと向き合ってくれなかったことの辛さを赤裸々に語られています。そんな中、初めて自分とキチンと向き合ってくれる人に出会ったことから奇跡の復活劇。英語の勉強から始まって大検合格、宅建合格、司法書士合格、そして司法試験に挑戦。そんな中、さんざん苦労をかけた父親の生きているうちに合格しようと必死に猛勉強。弁護士になった後も、包み隠さず自分の過去を赤裸々に語り、講演活動に精を出す。今は語学の勉強にも取り組んでいるとのこと。

凄い、本当に凄い。少年事件に関わっても、自分が彼・彼女に真剣に向き合おうとする姿勢にとても好感が持てます。自分の過去を伝えて教えようとされるのではなく、目の前の人と真剣に向き合おうとされている。なかなかできることではないです。それでも1割くらいしか救えないとも。それでも少しでも救われている人がいるということが凄いです。

苦労した分だけ、苦しんだ分だけ、きっと人の心が分かる人に成長されたのだと思います。果たして自分がどれだけ苦労してきたのか、苦しんできたのか、心もとないところはありますが、でも皆、それぞれきっと苦労し苦しんだ経験を持っているはず。私も多少なりともそんな経験をしてきたのだからやはり昔のことを思い出して、目の前にいる苦しんでいる人に寄り添い、正面から向かい合って、その人のことを考えてあげられる、そういう強い人になりたいと思わせてくれた、そんな良書です。