伊勢物語 石崎洋司

2016年3月10日第1刷発行

 

在原業平を想定した男性を主人公とした、平安時代の、日本最古の歌物語。

第1章は、氷室冴子『なんて素敵なジャパネスク』が、『伊勢物語』の『筒井筒の仲』をモデルにセリフが展開していることを紹介し、伊勢物語は現代の恋の教科書にもなり得るという導入から始まる。

第2章は、業平と藤原高子(藤原良房の娘。良房は摂関政治を始めた人物)との禁断の恋がテーマ。良房は高子を9歳の清和天皇と政略結婚させようとしていたから、業平とは決定的な対立関係に。

第3章は、業平の東下りがテーマ。いわゆる『貴種流離譚』のパターンが用いられている。

第4章は、業平以外に、紀有常が登場。第5章は、業平の高子に対する悲恋物語。第6章は、業平の短い歌物語。第7章は、伊勢の斎宮天皇の代わりに儀式を行う天皇の未婚の娘)との禁断の恋。第8章は、落日の業平。第9章に来て、古今集に登載されている、有名な「ちはらぶる神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」が登場。有名どころのため、流れとは関係なしに唐突感のある登場のさせ方になっていると著者は指摘。

もっと詳しくまとめていたのに、データが消えてしまって復元できず、残念至極です。

味わい深い歌が沢山掲載されていたので、又の機会に再掲しようと思います。