2022年9月20日第1刷発行
帯封「独裁、小国侵略、資源争奪 世界は弱肉強食の時代に逆戻りしたのか? 豪華メンバー集結!白熱の議論」
第2章 武器を使わない戦争 鈴木一人×峯村健司
第3章 苦境に立つアメリカ 村野将×峯村健司
第4章 台湾有事のリスクとシナリオ 小野田治×峯村健司
第5章 パワーポリティクスに回帰する世界 細谷雄一×峯村健司
岐路に立つ日本。大国として踏みとどまれるのか?小国となって蹂躙されるのか?」
裏表紙「2010年代後半以降、米中対立が激化するなか、2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻。世界情勢はますます混迷を極めている。プーチン大統領はロシア帝国の復活を掲げて侵攻を正当化し、習近平国家主席も「中国の夢」を掲げ、かつての帝国を取り戻すように軍事・経済両面で拡大を図っている。世界は、国家が力を剝きだしにして争う19世紀的帝国主義に回帰するのか?台湾有事は起こるのか?米中関係に精通するジャーナリストが、国際政治のエキスパート5人と激論を戦わせ、これからの世界の勢力図を描き出す。」
1 ロシアを勝たせてはいけない
ロシアとウクライナの兵力、実は互角
ロシアはウクライナの軍隊や国民を舐めきっていた
プーチンを増長させたバイデンの弱腰
経済合理性なき「名誉」をかけた戦争
2 19世紀的「ネオ近代」の到来
中露が目指す「多極化」の国際秩序とは?
大きな近代国民国家が競争を繰り広げる時代
好かれるより恐れられているほうがいいという価値観
第2章 武器を使わない戦争 鈴木一人×峯村健司
1 経済制裁の本当の効果
経済制裁の効果とは相手の戦争のコストを上げること
日中間に仕掛けられている「相互依存の罠」とは?
「安いから」とロシアにガスを頼り足を掬われたドイツ
「ウイグル人の強制労働に関与した企業リスト」の教訓
(先にマウントを取った者が勝つ)
「ナラティブ(語り)」をつくる「ズルさ」がない日本企業
2 「同盟」が重視される時代へ
習近平を操る、プーチンとの共同声明(侵攻直前の2月4日の共同声明)
第3章 苦境に立つアメリカ 村野将×峯村健司
1 米中対立激化の背後で何が起きていたか
中国重視への転換の裏に潜んでいたリソース不足問題
ウクライ侵攻前から弱まっていたアメリカの抑止力
「ロシアは選択を誤った」という教訓をつくりだせるか
アメリカがインド太平洋地域に戦力を分配できなくなるリスク
「2027年までに台湾危機」を裏付ける中国軍の航空戦力増強
中国は極超音速兵器を搭載するDF-17というミサイルを急ピッチで増強
日本にはどんな「打撃力」が必要か
①移動可能で残存性が高いこと②中国の防空システムに対し高い突破力があること③配備する場所を柔軟に選択できるだけの十分な射程を持つこと④目標に対し一度の攻撃で大きな損害を与えられること
核・通常両用で使えるミサイルDF-26の脅威
揚陸能力は低くても中国の台湾侵攻は可能
2 台湾有事、そのときアメリカは
核エスカレーションに対応する意志と能力が必要
台湾有事でアメリカはどこまでリソースを割くのか
第4章 台湾有事のリスクとシナリオ 小野田治×峯村健司
1 ロシア・ウクライナ戦争から得るべき教訓
人民解放軍創設100周年の2027年は要注意
中国軍の航空戦力はあと5年でアメリカと対等に?
2 体制間の生き残りをかけた戦争
ペロシ訪台後の軍事演習に何も手を打たなかった日本政府の大罪
中国が日本のEEZ(排他的経済水域)に5発のミサイルを撃ち込んだのに対し外務次官が中国の駐日大使に「演習をやめてくれ」と電話で抗議したが、中国は軟弱な抗議=黙認と捉えた。日本の東シナ海一体で主張しているEEZの存在を中国は否定できたことになる。日本のイージス艦を近接海域に派遣すべきであった。
「2024年危機説」が現実味を帯びるこれだけの理由
バイデン政権が続く、台湾民主党政権が続く。
第5章 パワーポリティクスに回帰する世界 細谷雄一×峯村健司
民主主義国は人口ベースですでに世界のマイノリティー
19世紀的パワーポリティクスと20世紀的二極構造のミックス
G7の中で最も政治が安定している日本のミッション
「ロシアもウクライナも両方悪い」論はなぜ適切ではないのか
「ルールに基づく国際秩序」を再建するのが日本の国益
おわりに 帝国主義に逆襲される世界
80年代後半には世界の国内総生産(GDP)の7割近くを主要7か国(G7)が占めていたが、14年にはその割合は5割を切り、影響力は相対的に低下している。
苦しい立場にある日本は岐路に立っているからこそ、生き残り国家戦略、国のあり方について議論する時が来ている。
大変勉強になった。