「鬱屈」の時代をよむ 今野真二

2023年1月22日第1刷発行

 

帯封「今の『不安感』を解くカギは100年前の『言葉』にあった! スペイン風邪・新型コロナ 第一次世界大戦ウクライナ戦争 関東大震災・3/11」「いろいろな『気持ち』『感情』がある中で、溌剌とした気持ちや、喜びという感情ではなく、不安な気持ち、憂鬱な気持ち、鬱屈した気持ちや感情などに焦点を絞り、そうした気持ちや感情がどのように言語化されてきたかを『よむ』ことをテーマとしたのが本書だ。(はじめにより)」

表紙裏「新型コロナウイスルの流行、東日本大震災ウクライナ侵攻…など、人々を『鬱屈』とさせる未曾有の混乱に見舞われている現代。我々は、内面に生じるモヤモヤした感情とどう付き合うべきか。そのヒントは、100年前にあった! 本書では、スペイン風邪関東大震災、そして第一次世界大戦の時代における、『災後』の言語空間に着目。夏目漱石太宰治芥川龍之介田山花袋などの有名文学作品をはじめ、雑誌、辞書、詩といった膨大な資料を引きながら『鬱屈』の時代を読み解く。」

 

 目次

はじめに

第1章 気持ち・感情・感覚の言語表現

第2章 文学作品の「鬱屈」

第3章 辞書に載せられた鬱屈した「気持ち・感情」

第4章 詩的言語にあらわれた「鬱屈」

第5章 2020年~2022年の「鬱屈」

 おわりに

 

第1章 情報をことがら情報と感覚情報に分け、感覚情報を気持ち情報と感情情報に分けた上で、感覚情報の中で「鬱屈した気持ち・感情」について考察していく。

第2章 夏目漱石「道草」、佐藤春夫「田園の憂鬱」、宮地嘉六「煤煙の臭ひ」、中戸川吉二『反射する心』、芥川龍之介の作品群を通じて、「気持ち・気分」「感情」「身体」が言語化されていることを詳しく解説している。

第3章 大正3年から昭和7年にかけて刊行された辞書に載った「気持ち・感情」を紹介しつつ、大正時代の句集等からも句を紹介する。

第4章 三木露風『廃園』、斎藤茂吉「赤光」、萩原朔太郎『月に吠える』、山村暮鳥『聖三稜玻璃』、関東大震災後の言語空間を表すものとして『噫東京 詩・散文』、東京市編纂『詩集 市民へ歌へる』、アララギ発行所編『灰燼集』、増田乙四郎詠著『大正激震猛火の新体詩』をとり上げる。

第5章 コロナ、ウクライナ侵攻の中で、「気持ち・感情」の言語化がどのようになされてきたかを冷静に観察する。

うーん、正直に言わせてもらうと、どうにも眠たくなる作品だった。テーマ自体は私の好みなのだが、内容は私に合わなかったのだと思う。