2019年11月27日第1刷発行
タウトが日本に発見したものとは何だったのか。その思想と美学に迫る6篇を新たな角度から読み解く。
表紙裏「ナチスが政権を掌握した1933年、ドイツの建築家ブルーノ・タウトは故国を離れて来日。日本滞在中の著作を通じて、その名はいつしか桂離宮に代表される『日本の美』と結びついていった。本書はタウトの眼が捉えたさまざまな日本をその文章とともに追い、綴られた言葉から浮かび上がるタウトの実像を再考する。迫り来る抑圧と暴力の予感を胸に、なおも自由と理想の美を希求しつづけたタウトのメッセージは、色褪せることなく今の私たちに新鮮な示唆を与える。」
目次
はじめに
1 図説篇
日本建築の基礎 それぞれの要素は良き社会の仲間のように
日本建築の世界的奇蹟 真の建築の精神を見つけるために
伊勢神宮 まるで気高い結晶のように
飛騨から裏日本へ タウト、日本を旅する1
冬の秋田 タウト、日本を旅する2
永遠なるもの―桂離宮 永続し継承されるもの
2 精読篇
日本建築の基礎
日本建築の世界的奇蹟
飛騨から裏日本へ
冬の秋田
永遠なるもの-桂離宮
増補改訳版あとがき
ブルーノ・タウト氏の思出-初版あとがき
解説 ブルーノ・タウトー〈どこにもない場所〉を求めて
小さな尺度の歴史としての『日本美の再発見』
おわりに
・ドイツの建築家タウトの日本建築・地方生活のエッセイ。
・日本建築の基礎
ヨーロッパの建築家たちが日本建築から得たのは、清潔さ、明確さ、簡潔さ、明朗さ、そして自然素材に対する誠実さといった面での理想的なイメージであり、それは現在でも変わらない。
・日本建築の世界的奇蹟
桂離宮と日光東照宮との比較を導入として、シンメトリーや正面性といった絵画的効果を重視する欧米や中国の建築文化も参照しつつ、桂離宮の最大の特徴が語られていく。庭や建物の個々の要素が自立しながら、全体が多様な関係性のなかに有機的に統合されている点こそが、桂離宮の現代性であり世界的奇蹟としている。
・伊勢神宮
天から届けられたこの作品を描写することは不可能である。