韓国ドラマ・ガイド トンイ 後編 NHK出版

2011年12月5日第1刷発行

 

表紙裏「身分の壁を乗り越えて王の側室となり、のちの名君を産み育てたスクビンチェシ淑嬪崔氏〔トンイ〕の一代記」

 

目次

ストーリー完全ガイド 第31回~第60回

ドラマの背景 粛宗から英祖へ 世代交代の系譜 歴史に翻弄されたふたりの王妃仁顕王妃vs禧嬪張氏 朝廷を揺るがす激動の派閥交代劇 朝鮮王朝の教育制度

スペシャルインタビュー ハン・ヒョジュ チ・ジニ イ・ソヨン ペ・スビン 

チョン・ジニョン チェ・ジョンファン パク・ハソン キム・ユソク

 

第31回 トンイを承恩尚宮に-粛宗の想いを前に秘密を抱えたトンイは苦悩する…

第32回 蔓延する原因不明疫病 疑われたトンイは命をかけて禧嬪との取引に応じる

第33回 禧嬪の策略にはまり苦境に陥るトンイ なぜ女官だけが病気にかかるのか…

第34回 使節団に脅されて窮地に立たされるヒジェ トンイの素性を暴くため禧嬪は側室の任命を下す

第35回 ヨンギに正体を知られてしまったトンイ 一方、禧嬪は謄録類抄を取り戻そうと…

第36回 謄録類抄が奪われた そこにはある作戦が ついにトンイは禧嬪と直接対決する

第37回 トンイに追い詰められ絶対絶命の禧嬪 その処遇に悩んだ粛宗は苦渋の決断を下す

第38回 仁顕王妃が返り咲き宮廷は平和を取り戻す そして側室任命の日トンイの懐妊がわかる

第39回 トンイが王子を産み宮廷は喜びにあふれる だが、平穏もつかの間 都では両班が殺され…

第40回 禧嬪が動き出す一方 剣契も再結集していた!そのかしらの正体は意外な人物で…

第41回 過酷な幼少時代の友ケドラとの再会-剣契を救おうとトンイは覚悟を決める

第42回 テソクと禧嬪が事件の真犯人だった!どちらが生き残るか 事態は急迫する

第43回 トンイはすべてを告げ罰を受けようとする 粛宗は王位を捨ててでもトンイを守ろうと-

第44回 王子の死という悲劇で事件は幕を閉じる 宮廷を追放されたトンイに新たな命が…

第45回 成長したクムと偶然出会う粛宗 愛しさを抑えられない粛宗はある行動を起こす

第46回 ひそかにトンイとクムを見守ってきた粛宗 その深い愛とクムのためトンイは宮廷に戻る

第47回 クムを禧嬪の手から守ろうと心を砕くトンイ しかし非凡な才能は宮廷内に知れ渡って…

第48回 心臓の病を抱えながら仁顕王妃は死力を尽くしトンイと延礽君(ヨニングン)のため禧嬪に立ち向かう

第49回 王妃は意識不明となり最期の時が近づく この機を逃さず禧嬪たちが動き出す

第50回 次の王座に就くのは禧嬪かトンイか 政権争いに翻弄される幼い兄弟の運命は…

第51回 禧嬪との争いが続き宮廷はますます揺れ動く そんな中、世子の姿が忽然と消えて

第52回 世子の命を狙ったとして糾弾される延礽君 禧嬪の敵となったのはほかならぬ世子だった

第53回 世子の病を隠し粛宗の逆鱗にふれた禧嬪 追い詰められた末にとった行動は

第54回 延礽君をかばったトンイは重傷を負う 孤立無援の禧嬪はついに罪を自白する

第55回 権勢欲を抑えられず悪に身を投じた禧嬪はその劇的な生涯を閉じる

第56回 延礽君を追い出そうと婚礼の命を出す王妃 トンイが見初めた娘は大きな宝を持っていた

第57回 世子に跡を継がせトンイを出宮させる決断をした粛宗の真意とは…

第58回 ついにムヨルが牙をむきトンイに襲いかかる!王の留守を狙った彼のもくろみは…

第59回 事件は終結したが後継者争いは続く すべての人のためトンイは宮廷を去る

第60回 民のため生涯を捧げた母の生き方を胸に刻み延礽君は今すべての民の父となる

 

後半の見どころは、23歳のハン・ヒョジュが賢母の役を見事につとめたところにある。延礽君を名君にするための教育も素晴らしいが、トンイに信頼を寄せた王妃が延礽君を養子にしたいと申し出たことに対し、延礽君の立場を確かなのもにするために、そして粛宗が譲位を急がなくても延礽君も世子も守れるために自らは宮廷を出ることを粛宗に申し出る。延礽君が慕うべき母は王妃であり、自分の役目は延礽君が王位に継いだときになるべきことを教えることだとして、賤民たちの救済所として自らの住まいを解放し、賤民たちがトンイに贈り物をしようと東屋を建てる光景を延礽君に見せ、そこにある尊い教えを忘れないようにと言う。延礽君がやがて第21代英祖となる。

これまで禧嬪をめぐる韓国歴史ドラマは数多あり、歴史的記録がほとんどない淑嬪崔氏に光を当てたドラマは初めてらしい。悪女の側面が強調される禧嬪に別の面を持たせるとともに、トンイが母としてグングン成長し、その後ろ姿を見て育った延礽君が名君として成長していく様は、韓国にとって大きな希望を抱く番組だったに違いない。そして母として成長していく姿を演じ切ることのできたハン・ヒョジュ自身が何より役者として大きく成長した作品になったに違いない。