豊道春海(書道家) 私の履歴書 文化人6

昭和58年12月2日1版1刷

 

①死んだ母の弔いに六歳で仏門にはいる

②書道の修業に西川春洞師の門をたたく

③若き懊悩をのりこえ書に生きる決意を

④入門してから十年楷書ばかりの修業時代

⑤寒さも忘れて全身全霊で書に打ち込む

⑥二十四で結婚-貧乏寺の生活にも潤い

⑦恩師の碑に腕を競った“洞門の七福人”

⑧行書千字文で大正博覧会の銀牌を受賞

GHQを説き伏せ書道の復活に努める

⑩招かれて“書の国”中国で初の個展を開く

 

明治11年栃木県那須郡生まれ。天台宗の和尚。人間は「慎」と「忍」を忘れず、物事にこだわらずに生きることが肝要と心得ている。14歳で西川春洞先生に師事して以来、77年間、1日も筆から遠ざかったことはない。91歳の今でも心を込めて机に向かえば僅かでも進歩がある。大正博覧会で最高賞の銀牌を受賞した。西川先生の命名による書道団体瑞雲書道会を結成した。大震災後、日本書道作振会が誕生(後に泰東書道院)。書道界を一丸にすべく日本書道連盟を創立し、今日まで書道界の中心機関として活躍している。書道の日展参加が昭和23年より実現。大筆を使いこなす筆法として双手廻腕法を編み出した。昭和33年に中国を訪問し郭沫若先生はじめ政府高官の前で大筆を振るった。展覧会には33万人が入場した。(昭和45年9月26日死去)