バッテリーⅤ あさのあつこ

2011年12月15日初版発行

 

裏表紙「新田東中学野球部でバッテリーを組む巧と豪。二人は、練習試合をした県内最強・横手二中の四番打者・門脇や瑞垣から注目され、もう一度戦うことになる。けれど、練習試合以来、巧と豪はずっとぎくしゃくしていた。なんとか練習を始め、巧の球をうけるようになった豪は、自分の本当の気持ちに気づき、巧にぶつける。そのとき、巧は―⁉『最高のバッテリー』を目指す二人がマウンドでの勝負に挑む、第5巻‼」

 

他人のことを理解しようとすることがなかった巧に変化が現れ、豪のことを気にし出す。巧に人間として少しずつ成長していく姿が窺え、その一方で投手としての能力も更に開花し始め、これまで完全に自分の球をコントロールできていたものが、球の威力を増した分、制球力を時に失うという危うさを持ちながら、投手としても更なる飛躍の時を待っていた。この巻では横手二中の瑞垣がとても良い味を出している。瑞垣は天才スラッガー門脇の幼馴染で長い間近くで彼を見続けていただけに彼の天才的資質を誰よりも知りかつ嫉妬していた。が本心を隠して仲良く付き合っていた。その門脇に対して闘志をむき出しにし、門脇をわざと怒らせる言葉を投げ付けて門脇から殴られる一幕が登場する。また巧たちが練習しているところに現れて、バッティングピッチャーを務める巧の前にバッターボックスに入って対決するが、真剣な態度で打席に立っていないことを見透かされると、巧からわざと球をぶつけられそうになり、これまで姫呼ばわりしていた態度を変化させ、巧にも闘志をむき出しにするようになった。横手二中との運命と再試合は間もなくだった。