日本人のための平和論 ヨハン・ガルトゥング 御立英史訳

第1部 日本の安全保障
 1  集団的自衛権 あと戻りできる選択か?
    「米穀が他国に行う軍事介入の目的は、テロとの戦いのためでも、人権や民 主主義の擁護のためでもなく、覇権主義の行使であり、経済的利益の確保なのである」
 2 沖縄問題 いまだ占領下にある日本
    「安保は廃棄せず寝かせておく」「『琉球』自立のすすめ」
 3 専守防衛 丸腰では国を守れない
   ・専守防衛(防衛的防衛)敵に攻撃された時に自国の国境線及び領土で行う戦闘
    ①国境防衛 ②領土内防衛 ③非軍事液防衛
    この3条件を満たす国防のあり方を考えると、ほぼ現在のスイスのような形態に行きつく。長距離兵器は保有せず、短距離兵器のみ保有する。
   ・攻撃的防衛(敵に攻撃されたときに敵の領土で行う戦闘)
   ・防衛的攻撃(敵の攻撃を防ぐための先制攻撃)
   ・攻撃的攻撃(敵を攻撃するための攻撃)
第2部 中国・韓国・北朝鮮と日本
 4  領土問題 解決のための発想転換
 5  中国   拡張主義の背景にあるもの
    「東洋的思考と西洋的思考」「2つの世界に属する日本」
 6  北朝鮮  理解不能な国なのか
    「拉致問題は日本への復讐」
    「北朝鮮が核を持つ理由」彼らは核のない朝鮮半島を望んでいる。
 7  歴史認識と和解 慰安婦南京事件真珠湾
    和解のステップ①事実を検証する②合意を表明する③未来の建設に取り組む
 8  日本の外交と防衛 4つの基本政策
    ①領土の共同所有②東北アジア共同体③専守防衛④対米従属からの決別
第3部 構造的暴力と戦争
 9  構造的暴力 戦争がなければ平和なのか?
    パワーには経済、文化、軍事、政治の4つのパワーがあり、その各々にソフト・バージョンとハード・バージョンがあると理解するのが正しい。
 10 米国の深層文化 なぜ戦争をするのか。
    DMA(①二元論②マニケイズム・一方が善なら他方は悪③ハルマゲドン)
   「『名前』が持つ世論形成効果」
 11 テロリズム つくられた新たな敵
   「理解できなければ解決もできない」
第4部 平和の文化をつくる
 12 移民・難民と日本 新しい共同体をめざして
 13 平和運動への提言 議論と勇気と創造力を
    相手を理解する良い聞き手になるためには、相手が語ることと、語らないことの両方に耳を傾けることが必要である。
   「ショーペンハウワーの4段階」
   新しいビジョンが受け入れられるまでの4段階①沈黙②嘲笑③疑い④同意
   「世界の果ての通学路」
    宇宙のエントロピーはつねに増大する、というのがクラウジウスによる熱力学第2の法則(エントロピー増大の法則)である。それは、世界は構造化された状態から混沌へと向かい、一切の構造が消失するということを教えている。私は数学と物理学を学んだが、人間社会においては熱力学第2の法則が絶対ではない。人間には混沌から秩序をつくりだす力が備わっていると信じているからである。
 14 紛争解決のための教育 サボナ・メソッド(あなたは私の中にいて、私はあなたの中にいる。あなたは私にとって大切、私はあなたにとって大切。私たちは互いの一部である)