インディラ・ガンディー -祖国の分裂・対立と闘った政治家 筑摩書房編集部

2015年12月20日初版第1刷発行

 

インディラ・プリヤダルシニ・ネル―が、フェローズ・ガンディーと結婚して、インディラ・ガンディーに。ガンディーの姓は夫の姓で、ハマトマ・ガンディーとは血縁的なつながりはない。父が初代首相のジャワハルラル・ネルー。祖父モーティラール・ネルーはインド独立運動を指導した政治家。インディラ・ガンディーは第三代首相。通算15年の政権を担当。大国を率いる女性初の首相。アジアの鉄の宰相とも。

インディラ・ガンディーは、1984年10月31日、67歳でシク教徒の凶弾に倒れる。その直前の街頭演説で「自分の死など問題ではない。流す血の一滴までもインド社会のために尽くすであろう」と。インド国内の混乱の中で命を懸け続けた。凶弾に倒れる直前、日本の上野動物園に2頭の象が贈られる。名前はアーシャ(希望)とダヤー(慈悲)。父ネルーが日本の子どもたちに贈った象のインディラが49歳で死んだ代わりに。

幼い頃にマハトマのガンディーに影響を受け、インドの伝統文化への確固たる自信を持っていた。「私たちインドには西欧のすべてから学ばなければいけないという感情から逃れている数少ない民族です。もちろん学ぶべきことは、科学、技術、文化などたくさんありますが、マハトマが言ったように民族の根源から浮き上がってはなりません。根はしっかり自らの民族の中に立脚させないとだめなのです」(166頁)

インディラの死後、3000人ものシク教徒が殺害され、息子のラジブが後継首相に。5年後総選挙で敗退し退任。その後、遊説中にテロに巻き込まれ、91年に命を落とす。

ラジブの死後、シン蔵相(後に首相)が経済開放政策で外国の直接投資を増やして成功を収める。97年には不可触民出身のナラヤン大統領が誕生。21世紀にムンバイは金融都市に変貌し、2030年前後には世界第三位の経済大国になると予想されている。

インドの近代史を大まかに勉強するにはちょうど良い本です。余りインドの歴史には詳しくなかったので、勉強になりました。