本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか 佐々木閑

2013年2月10日第1刷発行 2019年1月25日第4刷発行

 

帯封「自分の救済者は、自分自身である! いま、仏教から私たちが学ぶべきものはー信仰ではなく、“自己鍛錬”だ NHK100de名著『ブッダ 真理のことば』『般若心経』の著者が語りつくした〈釈迦の仏教〉のすべて。」「自分自身を島とし、自分自身を救いのよりどころとして暮らせ。他のものを救いのよりどころとしてはならない。法(教え)を島とし、法を救いのよりどころとして暮らせ。ほかのものを救いのよりどころとしてはならない。(『大パリニッパーナ経』より)」

表紙裏「いま、心のよりどころを仏教に求める人が増えている。なかでも注目されているのが、“信仰”ではなく、“自己鍛錬”の重要性を説く原始仏教=『釈迦の仏教』だ。ブッダの生涯はもちろん、仏教成立以前のインドの社会構造、僧団の生活規則など6つのテーマ(講座)からブッダ本来の教えを知る。」

 

目次

はじめに いま原始仏教が見直されている

1時限目 インドに仏教が生まれるまで

2時限目 釈迦の生涯

3時限目 サンガとは何か

4時限目 釈迦の弟子たち

5時限目 部派仏教から大乗仏教

6時限目 いまに生きる釈迦の言葉

 

はじめに

実践の宗教、厳格な因果則、自律的な宗教

1時限目

 ネパールで生まれた釈迦、アーリア人 ヨーロッパと中央アジアとイランとインドはもともとは一つの民族。1789年、40か国語できたイギリス人言語学者ウィリアム・ジョーンズが指摘。もともと同じ言葉をしゃべっていたのが枝分かれしたと見抜く。

カーストポルトガル語で、インドはヴァルナと呼んでいた。

 お釈迦様はカーストの考え方は絶対に不合理である、人は平等である、バラモン教と全く違う考え方を社会に打ち立てた。

 ところが、仏教はヒンドゥー化して消滅。イスラム教が侵入してきたためではない。

2時限目

 苦行ではなく精神集中して自分の心と向き合い、あらゆる苦しみから解放されるすべを知った。その悟りを菩提という。

 自分の心の苦しみをどうやって取り除くかを自分で考え、自分で方法を見つけ、自分で治療していった。ところが空から梵天さんが降りて来て、あなたの教えに共鳴した人たちのために立ち上がってくださいと頼まれ、人々のための宗教、慈悲の宗教へと変わる。「自利」「利他」の仏教となる。

3時限目

 お釈迦様の最大の功績は組織つくり。仏教はお釈迦様プラス5人の弟子の「6人」でスタート。出家修行者の組織サンガには相互に上下関係はない。サンガは一般社会といざこざを起こさず平和的に共存。思想面でも世界最高の人であり、サンガという平和的でしかも持続可能な組織を考案した組織設計者の面でも世界一の人。

4時限目

 十大弟子提婆達多について

5時限目

 お釈迦様の仏教と大乗仏教はいかに違うか

 大乗仏教より前の本来の古い形の仏教が考えた仏の現れ方は、お釈迦様の次に現れる仏は「弥勒」という名で、現在は天の世界で修行中の「弥勒菩薩」。そのシステムを大乗仏教が変えた。在家のままでも一心に仏様を信じて善行を積めば悟りに近づくことができる大乗仏教は人気を博した。

6時限目

 人は生まれて賤しいのではないし、生まれでバラモンになるのでもない。人は行ないによって賤しくなるのである。行ないによってバラモンになるのである(スッタニパータ142)

 人の生まれを問うなかれ。行ないを問え。人はどんな薪からでも生ずる。賤しい家柄の者でも、心堅固で恥を知る聖人となれば、それは高貴な人である(スッタニパータ462)

 ためになることをいくらたくさん語っていても、それを実践しなければ怠け者である。それはたとえば牛飼いが他人の牛の数を勘定しているようなものだ。そういう者は修行者とはいえない(ダンマパダ19)

 戦場において百万人に勝ったにしても、ただ一つの自分自身に勝つことのできる者こそが最高の勝者である(ダンマパダ103)

 究極の真理へと到達するために精励努力し、心ひるむことなく、行ない、怠ることなく、足取り堅固に、体力、智力を身につけて、犀の角の如く、ただ独り歩め(スッタニパータ68)