地政学時代のリテラシー 舟橋洋一

2024年1月20日第1刷発行

 

表紙裏「国際秩序とルール・規範の崩壊によって地政学的危機と地経学的危機のマグマが共振しながら噴出する『危機の二十年』。武力紛争を回避するためには地政学を学び、米中対立の時代を乗り切るためには地経学で考えなければならない。そのリテラシーを磨くための一冊。」

帯封「『平和維持には抑止力が必要』『統治の要は政治指導力』『日本は経済安保においてな赤字国』アナーキーで弱肉強食!国際社会を生き延びる知恵」

 

目次

はじめに

第1章 コロナ危機後の国際秩序崩

第2章 ウクライナ戦争とユーラシア専制体制

第3章 米中対立と日本の生きる術

第4章 インド・太平洋と日本の選択

第5章 地経学の挑戦と経済安全保障

おわりに 地経学リテラシー七箇条

あとがき

 

あとがきによれば、本書は、文藝春秋2020年2月から2023年12月までの「新世界地政学」の連載記事を中心に、「地政学リテラシー七箇条」と「地経学リテラシー七箇条」を新たに書き下ろしたもの(前作は『21世紀 地政学入門』『地経学とは何か』)。

キッシンジャーは処女作『回復された世界』の中で「歴史は国々の記憶である」と記したが、地政学の核心的な思想はこの一言に凝縮されている。歴史を正しく懸命に学ぶことこそが政治指導者の最も大きな責任である。

・「東アジアの興隆」と「西洋の没落」を象徴するのが東アジア十五か国が締結したRCEP(地域的な包括的経済連携)協定である。米国は参加してない。RCEPは世界の人口の3分の1を閉め、GDFはEUより丕。ASEANは2020年代末には世界第4位の経済規模を持つと予測されている。

安倍晋三元首相の功績について、「それまでの日本の状況対応型外交を当事者意識を持った積極的外交へと切り替えた。その具体的な表れが、Quad、CPTPP、FOIP (自由で開かれたインド太平洋)」を指摘し、「保守派政治家としての安倍の冴えは、排他的ナショナリズムと、社会分断的なポピュリズムを押さえ込んだこと」とする。

・「地経学の時代が到来した。地経学とは『地政学的な目的のために、経済を手段として使う』ことに他ならない」。問題は著者が指摘するように、総務省財務省の「悲しいまでの安保音痴」(財務省高官)の状況を改められるかどうかであろう。

・トランプ再選は安倍なき日本の「最大の地政学的リスク」に違いない。