私達はどう生きるか コロナ後の世界を語る2 変わりゆく世界で未来をつくるにはー20人の知性が導く、これからの日本人の羅針盤 朝日新聞社・編  

 

 マルクス・ガブリエル オードリー・タン 東浩紀 桐生夏生 阿川佐和子

岩田健太郎 宇佐美りん カーメン・ラインハート 金原ひとみ 金田一秀穂 クラウス・シュワブ グレン・ワイル 瀬戸内寂聴 多和田葉子 筒井康隆 出口康夫 西浦博 パオロ・ジョルダーノ 柳田邦男 ロバート・キャンベル

 

2021年8月30日第1刷発行

 

第1章 社会はどこへ向かうのか

マルクス・ガブリエル 新全体主義に精神のワクチンを

 国家ではなく一部のテクノロジー企業が私的領域の監視・統制を可能にするデジタル権威主義体制・新しい全体主義に対して、持続可能で倫理的に考え抜かれた未来を切り開いていくいくためにヨーロッパと日本が協力して、普遍主義的な道徳哲学と組み合わせながら普遍的な精神のワクチンづくりを議論する必要があるという趣旨のことを述べている。

東浩紀 「分からない」をベースにして連帯するしかない

桐野夏生 人間は二元論では語れない

多和田葉子 危機にうつむいて耐える日本を言葉で揺さぶりたい

 ドイツの早期コロナ対策・支援は後で審査があって必要なかった人は返金しないといけない、返せなかったら罰せられる場合もあるとのこと。

金原ひとみ 人と関わることはどういうことなのか?今考えるべき問い

〇宇佐美りん 隔たりか繋がりか 人との距離を選べくなくなった今―

〇出口康夫 「できなさ」が機軸の社会へ 価値観の転換を

 

第2章 分断を超えて

〇オードリー・タン 対立より対話で共通の価値観を見つけ憎悪の広がり回避を

 DIGI(デジタル化・革新・官民の共同統治・包摂)。

デジタル環境を確実にして利用権を保護したうえで、社会の革新を促す。官民で統治の規則を作り、将来世代を含む様々な人々が意見を述べ、行政から説明を聞くことができるシステム。これが理想だと述べる。その通りだ。

ロバート・キャンベル 見えない日本の貧困 重りをとっぱらって真の豊かな国に

〇パオロ・ジョルダーノ 複雑な問題には単純な解決策は存在しない

金田一秀穂 日本語という「不思議な」言葉は緊急事態に向かない

 

第3章 危機と国家

〇岩田健太郎 「条件なき」緊急事態宣言は伝わらない

〇西浦博 政治家には覚悟のかけらもなかった

 専門家の意見を吸い上げることができ、科学コミュニケーションにたけている科学顧問の組織を、独立性を保証した上で内閣の近くに常設することが望ましい。

〇カーメン・ラインハート 世界銀行チーフエコノミスト

 世界銀行が危惧する「静かな」金融危機

〇クラウス・シュワブ 世界経済フォーラム会長 世界が学ぶべき低成長でも「幸福」な日本の経済社会

 ステークホルダー資本主義の評価軸はESG(環境・社会・ガバナンス)による評価。

〇グレン・ワイル 政治経済学者 民主主義と国際市場の柔軟性を統合した新たなメカニズムを

 

第4章 生きること、死ぬこと

瀬戸内寂聴 コロナ禍の孤独や苦しみは「永遠には続かない」

阿川佐和子 実際に会うことは唯一の条件ではない

 会えなくても距離があっても見送ることはできる

〇柳田邦男 「さよならなき別れ」現代における死と死者の尊厳への問い

筒井康隆 「死を忘れるな」(メメント・モリ)小説に込めた思いとはー

 ラテン語の警句らしい。

 

さー、と読める。オードリー・タンさんは俊逸。以前読んだオードリー・タンの著書をぎゅっと圧縮したような濃厚な中身。西浦さんの部分も現在進行形の直接的当事者のお立場から重みのある発言であるように感じました。