元駐ウクライナ大使 馬渕睦夫が読み解く 2022年 世界の真実 静かなる第三次世界大戦が始まった 馬渕睦夫

2021年11月1日初版発行

 

帯封「・コロナ・パンデミックと気候変動論の罠に嵌まるな ・『文化秩序破壊』として自由世界に蘇る共産主義 ・『日本の新政権は『ジャパンファースト』を確立せよ!』「『静かなる第三次世界大戦』はすでに勃発している・・・ハルマゲドン(世界最終戦争)二年目にあたる2022年は、残念ながら世界がより不安定になり、より疑心暗鬼になる年だと思われます。本書が、共産主義ポリティカル・コレクトネスという二つの幽霊との闘いに勝利するための知的武装の一冊となれば幸いです」

表紙裏「・『リベラル』を変質させたフランクフルト学派 ・トランプ復活の可能性はあるのか? ・中国共産党は2025年までに滅びるか? ・世界が同じことをやる時は疑ってかかれ ・アフガンは『アラブの春』の再来となるか? ・新政権の課題は9条改正にあり」

 

・東京オリパラの基本コンセプトは「ダイバーシティインクルージョン(多様性と調和)」であると宣伝されたが、これはアメリカ社会の左翼文化革命を象徴する用語。オバマ政権下でアメリカ社会の分断が着実に進む。オバママルクス主義フランクフルト学派の影響を受けているといわれる。現在の共産主義革命は、文化秩序破壊というポリティカル・コレクトネスの衣を着て欧米及び我が国に浸透しており、その背景にはフランクフルト学派の文化破壊理論が存在している(はじめに)。

自由主義ナショナリズムのリーダーはトランプであり、社会主義グローバリズムの陣営はディープステートと中国共産党政権。

・世界統一戦略・専制義体制を掲げるディープステートは、メディアを駆使して、敵であるトランプの再選を阻止するために前代未聞の大統領選挙の不正を働き、再選を阻止してバイデンを勝利させた。アメリカを滅ぼしつつあるBMLは4つの柱を掲げる(①キリスト教精神に基づく家族制度を破壊する②警察と刑務所を廃止③トランスジェンダー社会を称賛し一般的な異性愛を軽視④資本主義社会を廃止)。BML創始者マルクス主義であることを公言(第1章)。

・トランプ追放に成功したため、ディープステートと中共との蜜月は終わる。ジャック・アタリが「2025年に中国共産党の一党支配は終わる」と言っているが、これは「自分たちが作ったのだから、自分たちが終わらせる」という意味。

・ディープステートとトランプの戦いはまだ続いている。トランプが共和党分裂ではなく、再興の戦略を取ったことで、アメリカ解体促進は抑えられた。この流れを阻止するために良識派民主党に期待したい(第2章)。

・ディープステートの政治的意図で作られたパンデミック騒動であるが故に、私は自己判断でワクチン接種を控えているし、少なくとも子どもには打たせてはいけないと保護者に訴えている。有効な治療薬(例えばイベルメクチン)が存在しているのに当局が承認しないのはおかしい。承認しないのはワクチンを打たせるため。

・経済活動を抑えて大きな資本だけが生き残るというところにディープステートの狙いがある。二酸化炭素が温暖化の元凶だと政府もメディアも専門家も大騒ぎしているが、説得的な科学的根拠は示されていない。電池を作るためにどれだけ二酸化炭素を排出しているかを考えれば、ガソリン車に電気自動車を代替させようとするカーボンニュートラルの思惑が奈辺にあるかは察しがつくのではないか。化石燃料発電を削減し二酸化炭素を減らすためには原発を増やすしかないことになる。世界のウラン鉱を押さえているのはディープステート、特にロスチャイルド財閥。環境運動家もディープステートの手の平で泳がされているだけかもしれない(第3章)。

・アチソンラインを引いた時に中共は台湾を侵攻しなかったのだから、現代において実際に台湾に侵攻する可能性は低い。むしろ統一しないで「一つの中国」論を使った方がメリットがある。

プーチン批判の十八番は政敵暗殺事件だが、プーチンを脅かす人間はいないから、プーチンには動機がない。むしろアメリカのネオコンと通じた反プーチン勢力が実行犯だと思われる。

・トランプがエルサレムイスラエルの首都と認め、大使館をテルアビブから西エルサレムに移転させたことで、イスラエルとアラブが戦乱になるという見方をされたが、実際はこれによってアラブ諸国イスラエルの国交正常化が進んだ。イランについてもトランプは密かにうまくやっていた。ディープステートとトランプの戦いは国内のみならず海外に置いても展開されていた。

北朝鮮はディープステートが作って裏から操っている「過激暴力国家」の如き存在で、イスラム国の古典版。この閉鎖国家に風穴を開けたのがトランプ。トランプによる泥沼の水を抜く大作戦が道半ばでとん挫した今、彼ら闇の勢力は臆することなく泥沼の中から顔を出し始めている(第4章)。

・「第5章」は「『日本ファースト』を確立せよー新政権は、本居宣長芥川龍之介に学べ」

ユダヤ系ロシア人でアメリカに帰化したアイン・ランドは、ハイエクフリードマンと比べ日本では知名度は高くないが、新自由主義リバタリアニズムにおける支柱の一人として大きな存在。グローバリストであり、世界統一主義者と同じことを言っている曲者。世界を洗脳する名高いグルーバリストとしてジャック・アタリとともに名指ししてかつて取り上げたが、「気づかれずに国民の持つべき意見をコントロールする目に見えない統治機構」の構成員たるメディアが報じる世論調査の欺瞞に洗脳されないように注意する必要がある。

日本学術会議日本学術振興会は、戦後民主主義という敗戦利権に群がる反日組織。南部約億円もの血税を多くの左翼学者にばら撒き、反日活動を続けている。日本の学界は左翼の巣窟として腐敗。そんな中で日本が生き残るためには皇室問題と対ロシア外交が鍵を握る。本居宣長は『直毘霊』(なおびのみたま)で四書五経を徹底的に排斥し、古事記万葉集などのわが国の古典を復権させて日本固有の道があることを自覚させようとした。芥川龍之介キリスト教が持つ破壊思想に警告を発し、短編小説『神様の微笑』でキリスト教が日本に根付かない理由は日本人の持つ「造り変える力」にあることを指摘。日本人の伝統思想が最終的に西欧思想に勝利するか否かは後世の日本人にかかっていると芥川は言い残している。1937年文部省『國体の本義』も同じ問題意識。国難に当たって復古の精神の肝要さを教えている。

 

これまでに読んだ本とは真逆のベクトルを持つ一冊。視点を変えて世界を見れば、見方がまるで変わる。視野を広げるのには格好の本だと思う。