2021年2月20日第1刷発行
帯封「日本にはもっと『分断』が必要です 独自の意識調査で日本人の価値観をあぶり出す!」「世界でも特殊⁉ 日本の『保守』と『リベラル』がわかる 実施回数26万回以上! 『あなたの価値観診断テスト』が描く『日本人の自画像』」
表紙裏「経済政策は選挙結果と関係がない? 実は外国人に寛容? 男女平等は世代を超えて支持? 日本人が求める『平等』と『競争』とは? 独自の意識調査から浮かび上がる日本人の価値観。保守・革新の分断が激化する世界で、『例外の国』日本の真の対立軸とは何か。」
第1章では、価値観診断テストの結果をもとに、投票行動は経済政策×社会政策をめぐる価値観では切り分けられず、外交安保リアリズム×外交安保リベラルが投票行動を左右していると分析。
第2章では、①自民党政権のスキャンダルに対し、よりクリーンな政治のイメージを掲げ、有権者に刷新を選択してもらう、②経済成長のための構造改革や女性活躍支援により強くアクセルを踏む、③世襲反対や国会改革などの先進的なイメージを前面に出す、ことを多数派形成の戦略のために打ち出さなければ、政権交代は起きないと分析。
第3章では、イングルハート=ウェルツェルの分布図(2017年実施の「世界価値観調査」により作成)を掲載しつつ(日本はもっとも「世俗的」(反伝統的・宗教的)で、かつ「生存重視」か「個人重視」かのベクトルではちょうど真ん中に位置している)、日本では「自助努力」の価値観が浸透していると分析。
第4章では、第二次安倍政権が長期化した原因を分析し、攻めと守り、積極性と消極性のバランスを巧みにコントロールすることで定期的に国政選挙に勝ち続けるプラスのサイクルを維持したからであると結論づける。また投票行動で重視される優先順位は[外交安保>経済政策>社会政策]とし、これからの自民党と立憲民主党の選挙戦略に対しアドバイスする。
第5章では、日本社会の価値観はどのように変わるのか、というテーマで、主として女性問題に関わる価値観について分析。第6章では、保守と革新の分断を探るというテーマの下、日本社会の特殊性とは何かを分析しつつ、右派ポピュリズム、左派ポピュリズムがそれぞれ台頭するメカニズムを分析する。最終章の第7章では、日本の分断とのテーマで、世界の中で例外の日本は護憲派・改憲派の対立と日米安保の論点が左右対立を規定しているとし、「健全な分断」とは何かを考えなければならない、分断を厭うのではなく、分断の中身を見極め、将来における分断のあり方を考えることが必要である、と結論づける。
なるほど。と思う一書でした。