不倫 -実証分析が示す全貌 五十嵐彰 迫田さやか

2023年1月25日発行

 

帯封「『過ち』はなぜ、どのように起きるのか 既婚男性の51.9%、既婚女性の24.7%に不倫経験あり 男性は職場に女性が多いと、女性は自由時間が多いと不倫しやすい 収入の高い男性ほど、自分より若い女性と不倫しやすい」

表紙裏「既婚者が配偶者以外と性交渉をもつことを指す『不倫』。毎月のように有名人がスクープされる関心事だが、日本では客観的な研究がほとんどない。本書では、気鋭の社会学者と経済学者が大規模調査を敢行。実験的手法や海外の先行研究も活用して実態に迫る。経験者は何%か。どんな人が不倫しやすいのか。どこで出会い、いかに終わるか。家族にどんな影響があるか。誰が誰をバッシングするのか。実証分析により解き明かす。」

 

目次

まえがき

第1章 不倫とは何か

  1不貞行為をめぐる法律 2姦通罪 3言葉から見た「不倫」 4社会科学的位置づけ

  補論 本書で用いる分析手法と考え方

第2章 どれくらいの人がしているのか―実験で「本当の割合」を推計する

  1日本は不倫に厳しいか 2不倫経験者の割合を算出する 3実験研究による不倫の検討 補論 リスト実験を成功させるために

第3章 誰が、しているのか―機会・価値観・夫婦関係

  1機会-きっかけとコスト 2価値観-価値観理論とパーソナリティ 3夫婦関係-」コミットメントと社会経済的な関係 4その他 補論 不倫を促す要因の分析過程

第4章 誰と、しているのか―同類婚と社会的交換理論

  1不倫のはじまり 2誰と不倫するのか

第5章 なぜ終わるのか、なぜ終わらないのか

  1不倫相手とどれくらい続き、終わるのか 2不倫と家族 3不倫を乗り越える夫婦

第6章 誰が誰を非難するのか―第三者罰と期待違反

  1 規範とサンクションの関係 2誰が誰の不倫を攻めるのか 3実験の仕組みと結果 補論 コンジョイント分析の手続き

あとがき

 

・不倫の割合の国際比較

 イギリス・ドイツは似通っており、男性の20%、女性の15%が不倫経験あり、フランス2014年調査では55%の男性、32%の女性が不倫経験ありと回答。韓国では2000年に男性の12.9%、女性の4.7%が不倫経験あり、2015年だと男性33.4%、女性11.4%に増加。アメリカは男性は20~25%、女性は10~15%が経験あり。

・女性の場合はダブル不倫が最も多く7割にのぼり、相手が未婚だと2割強。男性の場合はこれが逆転して自分が既婚で相手が未婚が5割以上。

・この1年で不倫した人の平均的年齢差は既婚男性は不倫相手が7.46歳下、但しばらつきが大きく49歳下というケースから29歳上というケースまであった。既婚女性だと不倫相手が2.76歳上で、ばらつきは12歳下から22歳上まで幅がある。

・不倫男性の男性平均年齢は48.41歳、女性は44.12歳。

・不倫相手のセックス回数の中央値は年12回。8割以上の不倫関係は1人の相手と年に2回以上、性交渉を行う継続的関係にある。

アメリカでは継続期間は56%が3か月未満、30%が3か月から1年、14%が1年以上。日本だと中央値は2.08年。

アメリカの調査データでは、不倫経験夫婦はそうでない夫婦に比べ5.8倍別居しやすく、4.1倍離婚しやすく、2.6倍離婚とその後の再建を経験しやすい。男性で不倫を経験した63%が、女性では67%が別居、離婚、再婚を経験している。

 

学者らしく実証データに基づいて縷々分析している。面白さそうな数値を抜き出してみた。