2002年11月1日初版発行
第1章 まず、勇気と自信をつける
第2章 準備をすれば、自信が生まれる
第3章 有名な演説家に準備を学ぶ
第4章 記憶力を向上させる秘訣
第5章 聴衆を引きつけるには
第6章 困難に打ち勝つ信念をもつ
第7章 うまく伝えるための極意
第8章 聴衆を前にしたときの注意
行き当たりばったりで人前で話をしてみたら、大失敗、なんてことありませんか?反対に入念に準備をし尽くして落ち着いてスピーチに臨んだところ思いがけず好評価を頂いたなんてことも、誰しも経験していることだと思います。事前の「準備」、そして借り物ではない自分の最も言いたいこと、伝えたいことを、自分の頭で考えて自分の言葉で伝えること、これこそが最も大事なことであるということに改めて気付かせてくれます。
その中でも、「ふんだんに準備せよ、余力が生まれる」という記述は特に重要だと思いました。食品販売担当のセールスマンを教育訓練するとき、食品に関するありとあらゆる知識を学ばせて食品の専門家に仕立てあげようとしたとき、こんな知識は客の役に立たないし誰も聞いてもわからないというセールスマンに対し、「この知識はお客さまのためのものではなくて、あなたのためのものです。あなたが商品のことを一から十まで知っていたら、それは言葉では表しにくい何かをあなたは得るのです。するとあなたはそれだけ積極的になれ、精神的にも強くなれるのです。お客さまは、あなたには逆らえず、勝てないと思います」と答えたという。
ここには、事前の準備というものが実は勝利の9割方を決定している、という重要な示唆を与えてくれている。何事も相手より精神的に優位に立てるまで準備に準備を重ねていざ勝負という場に臨むことが大事だということを教えてくれている。
また、借り物でなく自分の言葉で自分の経験を通して自分の考えを自然体で伝えるということの大事さも改めて認識させられた。機械のような不自然な借り物を借りてきては決して相手には伝えられない。自分の独り言のような内容をしゃべったところで相手には伝わらない。伝えることが目的であるなら、伝えるべく熱量・エネルギーを注ぎ込むためには自分なりの個性を自然のうちに発揮した伝え方を自分なりに練習して工夫して築き上げていくしかなさそうだ。上巻は事前準備編。下巻は実践編なので明日引き続き下巻も読んでみよう。20年以上前にもきっと読んだと思うのに、意外と新鮮さをもって読めたのがうれしいやら悲しいやらちょっと複雑な心境ではありました・・・