プリズンホテル〈4〉春 浅田次郎

2001年11月25日第1刷 2010年4月24日第30刷

 

裏表紙「義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。これでもう思い残すことはない…。忽然と姿を消した富江。その行方を気に病みながらも、孝之介たちは選考結果を待つべく『プリズンホテル』へ。果たして結果はいかに?懲役五十二年の老博徒や演劇母娘など、珍客揃いの温泉宿で、またしても巻き起こる大騒動。笑って泣ける感動の大団円。」

 

作家の木戸孝之介は、賞を狙って書いた恋愛小説と極道小説の2作品が「日本文芸大賞」にノミネートされた。これを聞いた義母の富江は電話で「もう思い残すことはない」と言い残して亡父の位牌を持って行方不明に。受賞の瞬間を見ようと編集者たちは木戸とプリズンホテルを訪れる。そこに52年もの長期にわたって服役していた小俣弥一が出所し、同じくプリズンホテルへ。弥一は木戸の叔父の仲蔵親分のオヤジに当たり、故八代目関東桜会組長の兄弟分という有名な博徒だった。弥一は競馬場で大当たりし、会社経営者だが間もなく不渡りを出そうとしていた楠堀留という男と出会う。楠留はことごとく外すが、弥一が大金を持っていたため、これを貰いたいと思った楠堀は弥一についてプリズンホテルへ。北海道出身の女優だがパッとせず居酒屋の女将の役ばかりしない母親と娘がプリズンホテルに宿泊する。そこに小説を書き続けてきた教員が訪れると、何とこの女優はかつての教え子だった。教員はプリズンホテルの支配人の息子から、趣味で小説を書いている教員を、ホテルに来た木戸に紹介しようとして引き合わせた。弥一がホテルに到着し、ホテルで賭博が開帳された。億を超える金額が飛び交う。全ては弥一が楠堀を助けるためだった。クラウンホテルの総料理長がプリズンホテルの服部シェフを呼び戻そうとするが、服部はプリズンホテルの板長の腕に惚れ込みクラウンになかなか戻ろうとしない。弥一の長期服役がコンピューターミスだったことを一言詫びようと老刑事がプリズンホテルを訪ねる。恋愛小説でなく極道小説でグランプリを受賞し、新聞・テレビのマスコミが大挙してプリズンホテルを押し掛ける。一旦は受賞拒否した木戸だったが、受賞の映像がテレビで流れると、一向に電話が繋がらなかった富江から木戸に電話がかかり、木戸が「お母さん!」と叫ぶ。服部は板長から名刀千代鶴是秀を授かり総料理長へ旅立つ。

 

これにて4巻完結です。名だたる歴史小説を書いたのと同じ作者の作品とは思えないですね。本当に。