2009年11月20日第1刷発行
表紙裏「『坂の上の雲』の秋山兄弟、『世に棲む日日』の高杉晋作、『翔ぶが如く』の西郷隆盛、『竜馬がゆく』の坂本竜馬…。大転換期を迎えた今こそ、国民作家が愛した救国の指導者たちは輝きを増す。その魅力を半藤一利、磯田道史、関川夏央、田中直毅らが語り尽くす―。」
目次
大座談会1 司馬遼太郎日本のリーダーの条件 半藤一利/吉田直哉/田中直毅/関川夏央/磯田道史
理想のリーダーとは―司馬さんの遺言
大座談会2 司馬遼太郎が愛した日本人 半藤一利/山内昌之/磯田道史/水木楊
大座談会3 偉大なる明治の「プロジェクトX」 半藤一利/中曽根康弘/櫻井孝頴/尾崎護
大座談会4 秋山兄弟、東郷、児玉の子孫大集合 秋山哲兒/大石尚子/東郷宏重/穂積重行
指導者の仕事―東郷平八郎が示した「最終目標」
指導者は「人」を集めなければ―坂本龍馬は「度量海闊」
指導者が劣悪だったら―乃木・伊地知とロジェストウェンスキー
「ウドサァ」の系譜―西郷隆盛に連らなる薩摩の男たち
指導者のユーモアーそしてその最後のドラマ
・磯田 高杉が見識の人というのは同感。「識人」は貴重。今の日本人は「才人」ばかりをあつめて官僚機構をつくっている。識人を国家中枢に何人おけるかが、この国の未来を左右する鍵かもしれない。
・関川 司馬遼太郎は、反天才主義。天才のもっている技術や才能は一代限りで人に伝達できない。宮本武蔵を見ればわかる。そうではなく、普通の人が努力して得たものを人に伝える力が大事で、教育こそが文化の動力だという考え方。その根幹には医学史がある。
・磯田 司馬さんは、江戸時代の武士の精神を蒸留して作った大きい方の雫が西郷で、小さな方が乃木だと言っている。素にして純なるもの、侍の持っていた潔さ、生真面目さが時代とのかかわりのなかで、名状しがたい巨大さであらわれたのが西郷。
・山内 明治において国民国家の礎を築いた大久保は世界史レベルの政治家だったが、ややマキャベリズムの臭いがする。
・半藤 悲運の幕臣小栗忠順の功績は『「明治」という国家』で詳しく触れている。この小栗が造った横須賀ドックがあればこそ、明治の山本権兵衛は近代的な日本海軍を建設することが可能だった。逆に言えば、小栗なかりせば、日本海海戦の勝利もなかったかもしれない。
・櫻井 私が大学時代、経済史の先生は「渋沢栄一のえらさは、士族を経済社会に引っ張り込んだところにある」と、何度も言われた。
・指導者の能力として鴨下は第1に卓抜な説明能力をあげる。
大半の作品は読んでいたので、ある程度理解できた。まだ読んでないのは『「明治」という国家』だ。小栗忠順は勉強になった。