ただ君だけ 2012年 監督ソン・イルゴン

チョルミン(ソ・ジソプ)はかつてチャンピョンに輝いたボクサーだったが、今は心を閉ざして駐車場の料金所で働く。ある日、視力を失いながらも明るく溌剌としたジョンファ(ハン・ヒョジュ)と料金所で知り合う。前任者がジョンファとテレビを見ていたので、そのままチョルミンもジョンファと一緒にテレビを見て、目の見えないジョンファに尋ねられるままに登場人物の姿を口頭で説明してあげたり、ジョンファが作るお弁当を食べたり、ある時は足を怪我したジョンファを背負って病院に連れて自宅に送り届けたりした。お礼にコンサートチケットを貰うチョルミンだったが、友達がいないというとジョンファが一緒に行くことになり、チョルミンはウキウキして帰る。ジョンファはめかし込んでコンサートに行き、終了後は一緒に食事に行くが、チョルミンの過去を尋ねてもチョルミンが答えないために無視されたと傷付く。帰り際に不器用なだけで無視したわけでなく、30歳でかつてはボクサーでかなりのワルだったことを明かす。これ以降、ジョンファは料金所を通ってもチョルミンに声を掛けなくなる。拳闘場の館長がチョルミンを訪ねて格闘技に復活するよう説得すると、チョルミンはボクサーを辞めた後は金の取り立て屋をして4年3か月刑務所にいたことを打ち明ける。ジョンファの家にいつもデートを申し込まれても断った職場の上司が訪ねて家に上がり込む。妻に暴力を振るい離婚されたと言い、プレゼントも開けてないことに腹を立て、プレゼントのネックレスをジョンファにつけようと近づくと、ジョンファに拒絶されたことにキレてジョンファを襲い始める。ジョンファが携帯の警報音を鳴らすと、チョルミンが部屋に上がり込み上司を殴り付けてジョンファを救う。しかし職場の上司を殴ったことで仕事を失うことを恐れたジョンファはチョルミンに責任を取れないことをするなと詰り、チョルミンがこれからも助けると言ってもその言葉が自分を惨めにさせることを知っているかと言って帰ってくれと追い返す。それでもチョルミンはジョンファの後を毎日後ろから見守り続ける日を送る。職場を辞めたジョンファはチョルミンに週末付き合うよう言い、当日チョルミンは将来盲導犬に育つよう子犬のゴールデンリトリバーをプレゼントとする。チョルミンは施設で育てられた過去を話し、ジョンファのためにボクサー復帰のためにトレーニングを始めた。ジョンファのために部屋をバリアフリーにして一緒に幸せな生活を送り始めたチョルミンは格闘技の試合に出ても連戦連勝だった。、チョルミンがジョンファの両親の墓参りについていくと、ジョンファが失明し両親が亡くなったのは、ある時、ビルから炎の男が落ちてくるのを見てハンドル操作を誤って後続の車と衝突したからだと知った。男はチョルミンが金を取り立てた相手だった。ジョンファは僅かな光さえ間もなく失いそうになっていた。チョルミンは目の手術代を稼ごうと多額の賞金が獲得できる賭博試合に出場することを決め、過去の自分とつながりのある物は全て焼却し、手術室に向かうジョンファを見送った足で試合に臨み、死闘の末、勝利を収めた。手術も大成功し視力を回復したことを聞いたチョルミンは次の闇の仕事を引き受けたが、何者かに車ではね飛ばされ背中を刺されて重傷を負う。チョルミンがなかなか帰ってこず、部屋は明渡しとなった。チョルミンがよく通っていた教会に行くと、チョルミンを知る男がチョルミンがよくジョンファのことを語っていたと教えてくれた。この男こそ炎に焼かれた男だった。全てを知ったジョンファは手にチョルミンの顔を触った記憶をもとに彫像を作成した。2年後、ジョンファは陶芸家として、またボランティアとしてマッサージを施す日々を送っていた。ある日病院でマッサージをしていると、2か月前に転院してきた同室の男性にマッサージを施した。ジョンファはチョルミンの顔を知らないが、チョルミンだった。チョルミンは以前ジョンファと互いに石を相手と思って持ち合ったが、その石を固く握り涙を流しながら一言も声を発しなかった。街を歩いていたチョルミンにゴールデンリトリバーのディンガーがチョルミンに気付いて飛びつき足の不自由のチョルミンを倒してしまうが、チョルミンは声を発しないためジョンファは気づかない。店に帰って彼の部屋の亀が無くなっているのとディンガーが吠え続けるのを見て、ようやく松葉杖の男がチョルミンだと気付いたジョンファだった。急いで彼を探すが見つからず泣き叫ぶ。病院も退院していたため行方が知れないチョルミンだったが、亀を連れてある場所に向かった。ジョンファもきっとそこにチョルミンがいると思い、チョルミンが点字のテーブルを触っているところで二人は再会し、互いに笑顔で涙を流して抱きし合った(エンド)。

 

失明役の女性を演じたハン・ヒョジュの演技が素晴らしい。韓国で130万人動員も頷ける。日本でも吉高由里子横浜流星が「きみの瞳が問いかけている」のタイトルでリメイクされ話題を呼んだらしい。