支配種 2024年(全10話) 監督パク・チョルファン

韓国大統領を狙ったテロ事件で多数の死傷者を出してから数年経った2025年。チュ・ジフン演じるウ・チェウンは元大尉でテロの現場にて多数の仲間の命を奪った犯人を捜していた。一方、ハン・ヒョジュ演じるユン・ジャユは、人工培養肉を世界に提供する国際的企業BF社の冷徹なCEO。人工培養肉によって人類が動物を食べて生きてきた数百万年の”支配”と‘被支配’の関係を終息させ、動物を犠牲にしない世界を目指すという。そんなある日、ユン・ジャユがテロの現場に招かれて事件の生存者であることを知り、チェウンはボディガードとしてジャユに近づきBF社に潜入した。

 

ジャユに対しては、職を奪われて人殺しと糾弾する声と称賛する声が上がっていたが、年末、職を失った畜産業者がジャユの乗る車に目掛けて飛び降り自殺をした。BF社の研究所はランサムウェアのハッキングに遭い、大金を要求される。チェウンの経歴を調べると、過去にランサムウェアの被害を受けた海軍に在籍しており、ジャユは、彼とハッキングの関連を疑う。チョン・グクファン演じる前大統領に呼び出されたチェウンは、ジャユがテロ事件で生存し大統領交代後に人工肉培養のための法改正を実現して多額の利益を得たことから、容疑者として目をつけられており、FB社に潜入してジャユの捜査を命じられていた。ジャユはチェウンの助言通りに大金を支払いシステム復旧に成功した。チェウンはランサムウェアの文字の一部から内部犯行説を疑い、ジュヤは社内の最高幹部たちの位置情報等を調べ始めた。ジャユは、チェウンがテロ事件の際に前大統領の護衛をしていたことを隠していたため、前大統領とその孫で国務総理のジェ(イ・ヒジュン)の関係を疑う。ランサムウェア事件はチェウンの言うとおり、長年一緒に研究をしていたキム・サンホ演じる研究者のシングだったことが分かり、設立メンバーの裏切りにショックを受けた。かつてシングの妻はがんを患り、培養液の生体実験を実施したが、失敗したために逆恨みされた結果だった。ところがシングが逃亡中に死亡したと知らされ、謎の男がジュヤたちを狙っていた。総理のジェに呼び出されたジャユは、帰途でテロ組織から狙われ銃撃戦に巻き込まれ、ジュヤはチェウンに救われるが、チェウンは大量出血と組織が壊れて瀕死の重傷を負う。普通なら助からない状態のチェウンを研究所に運び、培養技術を使うことでチェウンは一命を取り留めた。ジェ総理の父グン(オム・ヒョソプ)は国内巨大企業の会長で永遠の命を欲していた。チェウンは復活の手術の際にテロの時に負傷した片耳に、人間では聴き取れない周波数の音でも聞こえる特殊な聴力を持たせられていた。ジャユはシングが手術の失敗の時から恨み続けていたのか、その後で誰かが彼を変えたのか探ると、彼ががん患者の会合に参加していた事実を知る。ジャユがBF社を立ち上げた理由を聞いたチェウンは、そのきっかけになったのがクロイツフェルト・ヤコブ病で死んだ双子の妹の存在で、彼女を火葬にしてしまったことだと知り、両者の関係は修復していく。がん患者の会合に参加していた男は、腕利きの殺人者であり、この男をチョウンと一緒に追跡していた同僚の警備人ホスンを刺し殺した。チェウンは特殊な聴力だけでなく超人的な怪力を得て、ホスンの殺人現場に駆け付けた警察官を怪力で吹っ飛ばした。ジェ総理はジャユを呼び出し、上流階級の人々のみ不老不死を手に入れるべきだと主張し、ジャユと対立する。BF社の顧問弁護士ヘドゥン(パク・ジヨン)は密かに社内の情報をドーソングループ会長で総理の父グン(オム・ヒョソプ)に流していたことが明らかになり、ヘドゥンを拘束して彼女の脳波から手がかりを探ろうとした。ジェ総理は国をあげてBF社を潰そうと動き始めるが、ジュヤは対抗するために人体培養実験の存在を世の中に明かして自らが被験者となる旨世に公表した。ジャユがテロ事件の犯人ではないと確信したチェウンは、大統領の娘で総理の母でもあるドーソングループ会長グンの元夫人に接触し、元夫人は息子のジェ総理から全て打ち明けるよう助言されてテロの実行犯はグン会長であることを明かした。BF社の研究所のサン所長はヘドゥンから分析した記憶から、飛び降り自殺した農家の遺族を訪ねた謎の男が牧師として彼らを扇動していたことを突き止めた。チェウォンはテロ事件の罪を被ったキルと面会し、彼から家族を人質に取られて嘘の自白したことや韓国随一の富裕層がバックにいることを突き止めた。チェウンは唯一の手掛かりとなったキルのいとこを訪ねてドバイに向かい、ジュヤは謎の男に呼び出されて合流したが、謎の男は全身血まみれで虫の息だった。手術を希望する彼を車に乗せると、グン会長の配下の者に襲われてジュヤは車ごと立体駐車場から落とされて瀕死の重傷を負い研究所に運び込まれた。ジェ総理はBF社を家宅捜索し、帰国したチェウンらが侵入者を制圧したが、チェウンも重傷を負い、ジャユの手術も途中で中断を余儀なくされた。ヘドゥンとグン会長の会話が公開されてグン会長の犯罪が明るみになると、ジェ総理は父を切り捨て自らも総理の座を退いてドーソングループの会長の座に収まった。意識を失っていたチェウンが瞼を開いたところでこのドラマは幕を閉じる。

チェウンの手術が成功したことを窺わせる終わり方は、当然ジュヤの手術も成功したであろうと予想させ、ジェ元総理との第2ラウンドはシーズン2として再びドラマ化されるに違いないと思わせるものだった。

 

それにしても、ミステリアスで冷徹なCEOに徹する演技を披露したハン・ヒョジュは、笑顔や涙顔がとても素敵な女優なはずだが、このドラマでは一切笑顔も涙顔も封印している。シーズン2では、ハン・ヒョジュの笑顔や涙顔の復活を楽しみにしたい。それにしてもシーズン2はいつ頃から始まるのか、気になりますね。