2017年6月30日第1刷発行
帯封「原典を大切にし、読みやすさを追求しました。慎重であるより、果敢であれ! 時の流れに従って自分を変えなければ、運命は変わらない」「強いリーダーの条件 ・古いしきたりを、新しいものに変革する ・厳格であり、寛大であり、慈悲深くあり、公平である ・関係者とは友好関係を保ち、自分に助力してくれるよう、仕向ける ・不誠実な集団は解体して、新しい集団を創出する ・独自の軍を備える」
・マキャベリは大学を出ておらず単なるフィレンツェの公務員だったが実直に働き外交官に抜擢され強国との交渉に奔走した。が、役人職をクビになり投獄され拷問を受けた上で故郷を追われ引退を余儀なくされた。人の美しい面と醜い面をとことん見てきた彼だからこそ、リーダーはどうあるべきか、国はどうあるべきか、私たち個々はどうあるべきかを説くことが可能だった。
・そんな彼が偉大な君主、ロレンツォ・ディ・ピエロ・デ・メディチ陛下へ献上品として差し出したのが「君主論」。冒頭の「献呈の辞」で「君主の性質は、平民の立場でないと見抜けない」「私の魂がこまった、この小さな贈り物を、お受け取りください」「この書を熟読し、ご自身のお立場で深く考えていただけたら、ただ陛下に偉大なる未来を築き、自身の大きな任務を全うしていただきたいと願っている、私の強い要望も理解いただけるでしょう」と述べている。
・本書は共和制の話を省き君主制についてのみ論じる。世襲の君主制では王の器量が並程度であってもよほど尋常でない巨大な勢力に権力奪取でもされない限り国を維持することはできる。
・病気が初期のうちは発見することが難しいけれども、処置することはたやすい。時間が経ってしまえば発見するのはたやすいけれども、治療は困難になる。これと同じことが、国家についても起こります。ローマ人は困難をすぐ予見し、迅速な対処をしました。時が味方するまで気長に待ちましょうと言うことをよしとはしませんでした。
・君主は歴史書を読まなければならない。アレキサンダー大王はギリシャの英雄アキレスを模倣し、アレキサンダーをカエサルが真似した。共和制ローマの軍人スキピオはアケメネス朝ペルシャのキュロス大王を手本にした。クセノフォン『キュロス伝』を読めばスキピオがいかにキュロスを模倣し寛大で人情味に溢れた人間であろうとしたことがわかる。
・君主は誰にも慈悲深く信頼でき人情味あふれ公正で敬虔であると思われるようにしておく必要がある。新しく国を立ち上げた君主はセウェルスを手本とし、マルクス・アウレリウスからは既に確立している国を平和で偉大なものに保つ術を学ぶべきである。
・君主を見抜く際は彼の周りにいる側近を見ればいい。彼らが有能で常に忠誠心を表しているのであれば君主は賢いものであることが想像できる。
・最後はペトラルカの詩で締めくくられている。
高潔さは戦をもって、暴虐を打ち破り
兵たちはすぐに戦いを終わらせるだろう
古きローマの兵はすでに死んでしまった
しかしイタリアの精神は、まだ滅んでなどいない
本書の要約は難しい。多岐にわたるし、私の信条に反する部分も多々あるからだ。
それでも、自戒すべきだと思った項目は列記してみた。