2022年6月15日発行
裏表紙
「イントロダクション やめたくてもやめられない。それが依存症
第1章 物質依存症 前と同じ快楽を得るには、より多くの薬物が必要
第2章 行為依存症 授業中や仕事中にも、ゲームの快感を求める
第3章 人への依存 自分の価値を、相手に必要とされることに求める
第4章 依存症になってしまう心理 自己評価が低い人は、依存症になりやすい
第5章 依存症から回復するために 孤立を防ぐことが、依存症からの回復に必要」
仕事依存症(仕事中毒)がこの中に含まれているとは驚いた。確かにワーカホリックという言葉は聞いたことがある。アメリカ神学者で精神医学者のウェイン・オーツが1971年に出版した著書でワーカホリックという概念を提唱。アルコホリック(アルコール中毒)に似ている言葉で、オックスフォード英語辞典にも掲載。自分の健康や家族にも十分気を使いながら仕事に熱中する、それとは反対に家族や健康をないがしろにして仕事一辺倒の人間になる、その違いがあるのだと思うが、病気の範疇に入らないように気を付けないといけないと自分を顧みるきっかけになった。
ちょっと珍しい言葉としては、クレプトマニア。病的窃盗、窃盗症と言われる精神疾患の一つ。セックス依存症もICD-10性嗜好障害に位置づけられている。
自分をも騙す嘘が依存症を進行させる、という項目の中に、「事態の軽視」“やめようと思えば、明日からでもやめられる”“たまにハメを外すが、だれにも迷惑をかけていないし、それほど重症ではない”“この程度は、酒におぼれているうちに入らない”というのが紹介されていた。気に留めておこうと思う。
依存症から回復するために、の項では、覚せい剤再乱用防止プログラムの一つとして「スマープ」と呼ばれるプログラムが紹介されていた。これを受けた患者の68%がプログラム終了後から1年後の1カ月間一度も覚せい剤を使用しなかった、また約4割は最長1年間覚せい剤をやめ続けることに成功、とあった。こういう方法があると言うのは貴重な情報だ。アルコール依存症の人にお酒をやめてもらうためには“飲酒のせいで生活が台無しだ”と指摘するのではなく“お酒を飲んでいないあなたが好きだ”と伝える、こういう積み重ねで治療に向かえるようにする。抗酒薬は少量のお酒を飲んだだけでも吐き気・頭痛が起きるもの。断酒補助薬や飲酒量低減薬というものもあるらしい。薬は医師の指示のもとで適切に使用するように、という注意書きも添えてあったので、安易に使ってはいけないらしい。
政府広報オンラインや厚労省、依存症対策全国センターに正しい情報を得られるWEBサイトがあったり、国や地方自治体、医療機関、回復支援団体、自助グループのサイトなど様々情報発信をしているらしいので、ちょっとずつ勉強してみようと思う。