分子をはかる がん検診から宇宙探査まで 藤井敏博

2022年10月20日第1刷発行

 

帯封「田中耕一さんら7人のノーベル賞受賞者を輩出 科学の最前線を拓く質量分析法のすべて たった一滴の血液から病気を診断 ドーピング検査、薬物取り締まりの切り札、年代測定―古代遺跡から気候変動まで アポロ計画はやぶさ、惑星探査機に搭載」「アルツハイマー病、がんを早期発見 ・呼気から糖尿病を見つけ出す ・新型コロナウイルスの正体を突き止める ・1ドル紙幣からコカインを検出 ・質量顕微鏡-抗がん剤の濃度が見える ・弥生時代の始まりが500年早くなった理由 ・年輪や湖の堆積物から気候変動を解明 ・地球環境をモニタリングする ・宇宙で生命の起源を探る ・食品の“おいしさ”も測定できる ・7ンのノーベル賞受賞者を生んだ『はかる革命』」

表紙裏「宇宙にある物質は、すべて分子で出来ている。その分子の質量を測定することで、物質の正体がわかる技術、それが質量分析法だ。近年、飛躍的な進歩を遂げ、医療、環境問題、宇宙探査などで目覚ましい成果を挙げている。科学の最前線への招待。」

 

分子の測り方(未知の物質(試料)を質量分析計にかけるプロセス)

1試料を質量分析計に導入する 2その試料中の成分分子をイオン(電子を持った分子)に変える 3そこで生じた分子のイオンを質量の違いによって分ける(分離する) 4質量ごとに分離されたイオンを検出する

すべての分子は固有の質量を持っているため質量を知ればその分子が何か特定・確認できる。

質量分析計は、1試料導入系 2イオン源 3質量分離部 4イオン検出器 5コンピュータによるデータ処理システムから構成されている。

分子をはかる原理

 原子はふつう電気的には中性。しかし原子から電子が失われたり(解離)、加わったり(付加)すると全体としてプラスやマイナスの電荷を持つようになり、この状態をイオンと呼ぶ。質量分析法ではこれらのイオンが測定の対象となる。

N14原子番号(陽子の数) 質量数(核子の数)

イオン化法と質量分析計の具体的な説明は省略する(本書には、それぞれイメージ図が掲載されているため初学者でもイメージしやすく工夫されているところが凄い)。

 

こんなに難しい内容を、こんなにわかりやすく説明することの出来る著者の才能に脱帽。