「いちプレーヤー」から「マネージャー」に頭を切り替える思考法 リーダーの仮面 安藤広大

2020年11月24日第1刷発行 2021年12月10日第14刷発行

 

帯封「マネジメントで『いい人』になるのは、やめなさい。ラクになった!自信がついた!2021年1地番売れたリーダーシップ本!圧倒的支持で、25万部突破‼」「カリスマ性も、人間的魅力も不要。リーダーに必要なのは、『この5つ』だけ。」

表紙裏「『素顔』のままで、疲れ果てるか。『仮面』をかぶり、生まれ変わるか。」

 

目次

はじめに なぜ、「リーダーの言動」が大事なのか

序 章 リーダーの仮面をかぶるための準備 - 「錯覚」の話

第1章 安心して信号を渡らせよ - 「ルール」の思考法

第2章 部下とは迷わず距離をとれ - 「位置」の思考法

第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる - 「利益」の思考法

第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな - 「結果」の思考法

第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく - 「成長」の思考法

終 章 リーダーの素顔

 

序章 

 組織マネジメントには「数学」や「物理」のように公式がある。

 モチベーションという言葉は諸悪の根源。リーダーの役割は部下のモチベーションを上げることではなく、成長させること。

第1章

 「自分を主語にする」という姿勢はルールの一つである。

「早くやらないと上が怒るよ」 同じ位置からモノを言う責任逃れのリーダーの下ではチームは成長しない。

ルールのある組織には「気遣いでやる仕事」という概念はない。

第2章

 寄り添いリーダーは成長の止まっている状態を正当化する。部下に確認するのは情報を吸い上げるという行為だけである。

 ルールがあり、そのルールに対してできていない事実を淡々と指摘する行為はパワハラにはならない。

第3章

 ついていきたいと思われたいという感情こそ、諸悪の根源。

 著者は組織あっての個人だと言い切る。ただそれは組織のために働いたことが個人の利益につながっていくことを前提とする。会社の利益のために働くという意識が部下にあれば、経営者が気づいていない情報は積極的に上に上がる。

組織として一番良い状態は競争が怒っているという状態。

適材適所という言葉は識学の考え方では存在しない、役割が最初に用意されていて個人がそこに適応してもらうのが正しい順番だから、という。

第4章

 プロセスではなく結果だけを管理せよ。自己評価ではなく他人から評価を獲得せよ。部下からの評価は全て無責任な感想に過ぎない。目標をクリアーしても当たり前の基準をブレさせないためには褒め過ぎない。。

第5章

 目に見えない成長を感じ取れる瞬間こそリーダーの仕事が成功したことの証。

 なぜそれをやらないといけないのかという部下に対しては、まずは一度やってみてください、やってみれば見えてくるものが必ずありますと言い切る。

 それでもうまくいかないときは、実際にやってみて失敗したらそれは上司である私の責任。なので思い切ってやってみてくださいと押し切る。

終章

 経営者、上司だけが1%を絞り出すのには限界がある。組織にいる1人1人が1%を生み出すことを考える必要がある。社員を正しく愛するとは社員にきちんといいストレスを与えてあげることである。

 

職場のリーダーであれば、この本が言う内容に頷ける箇所もないではない。しかし、あまりに割り切り過ぎている。そこまで仮面を被ることはなかなか出来ることではない。またこれを職場を離れて別のところでやってしまったら、その人は人でなしになってしまうだろう。人は仕事とプライベートの両方を持っている。それを立て分ける必要は当然あるが、ここまで細然と区分けできるのだろうか。

また組織あっての個人だ、また適材適所という言葉はないと言い切る著者の主張には躊躇を覚える。最終的にそのような組織では生き残れないのではないかという疑問がわく。

全体の利益と個人の利益の関係は鶏が先で卵が後という発想で捉えることに恐らく違和感を持つのだと思う。同時に追求するという事を理想とすべきではないかというのが私の考えだ。