2016年11月10日第1刷発行
帯封「100de名著 人気番組のエッセンスが1冊に! 一度は読みたいと思っていた名著の数々を分かりやすく解説して話題の番組。取り上げられた32冊を精選、『名著ってこんなに面白かったのか!』と発見できるブックガイド。」
1 『愛するということ』“The Art of Loving”エーリッヒ・フロム(1956年)
「愛する」には「技術」が必要。愛を与えること、とは、自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分のなかに息づいているもののあらゆる表現を与えること。それがフロムの考える成熟した愛。与えることによって、何かを受取ることになる。こうした交換し合う関係が理想。
8年前に読んだが、すっかり忘れていた。
日々、絶望的状況の中で決して希望を失わず明るい言葉で日常をユーモラスに綴り残したアンネ。その希望の灯がある日突然中断。2度とこのようなことが繰り返されてはならないとの著者の思いを再度確認する。6年前に一度読み、昨年別の書物で読んだため、結構記憶に残っていた。
3 『オイディプス王』ソポクレス
未読であることに気付いた。人間の運命の意味を悲劇を通して描く。
「知」を謳歌し驕り高ぶる都市国家アテナイに冷や水を浴びせかけ反省を強いたソポクレス。読まねばならない。
4 『幸福論』アラン
世界三大幸福論の一つ。別の幸福論と勘違いして素通りしていたよう。
「悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである」というのは有名。
幸福にむけて努力することは個人のためだけではなく、世界のためでもあるというのがアランが訴えたかったメッセージ。
5 『こころ』夏目漱石
何度か読んだ記憶はある。日本随一の名作だと言われる理由はそれを語る人それぞれだと思う。姜尚中(カンサンジュン)は、近代化は孤立を深め、Kは自殺し、私に遺書を残して先生も死んでいくが、自らの意思で師匠と定めた先生から、重い過去を学んだ弟子の私は、しっかりと生きているように感じられると述べる。教育に関して、漱石自身、弟子との関係を大事にしていた。
6 『菜根譚』洪自誠
6年前に読んだ。田中角栄、吉川英治、川上哲治、後藤慶太らの座右の書。
文は拙を以って進み、道は拙を以って成る。一の拙の字に無限の意味有り
7 『実存主義とは何か』ジャン=ポール・サルトル
7年前に読んだが、だいぶ忘れていた。
サルトルが死の直前に語った言葉「〈世界は醜く、不正で、希望がないように見える〉といったことが、こうした世界の中で死のうとしている老人の静かな絶望さ。だがまさしく、私はこれに抵抗し、自分ではわかっているのだが、希望の中で死んでいく。ただ、この希望、これをつくり出さねばね」(対話『いま、希望とは』より)
8 『斜陽』太宰治
かつて読んだはずなのだが、記憶が蘇らなかった。再読が必要だと気付かされた。
9 『種の起源』チャールズ・ダーウィン
1年半前に読んだ。『退化』だって『進化』。マデイラ島に生息する甲虫の多くは羽が退化して飛べない。吹き曝しのため空を飛ぶと風に流され海に落ちて死んでしまうから。飛べない甲虫だけが子孫を残した。適応したものが生き残る。優劣などではない。
「嫌われる勇気」しか読んでいないことに気付いた。早速読んでみたい。
11 『荘子』 無為自然の思想を説く 何年か前に読んだ記憶が残っている
12 『代表的日本人』内村鑑三 西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮をとり上げた日本人論 6年前に読んだ
生きるとは、後世に生まれる未知の他者が歩く道を準備すること。何かを受け継ごうと考えてこの本を向き合うとき、はじめて自身に準備されているものの豊かさに気付くことができる。
半年前に読んだが、私には肌に合わない書物だった。悪人正機、他力本願・・
思い通りにならないこの現実を、そのまま受け止めていけ、と訴えているのではないか。うーん、そういう意味では、広く受け入れられた理由も少しわかる気がする。
隈研吾さんの建築における「孔」は岡本天心の「虚」に通じる。『茶の本』を読んだ時はそんなことは考えもしなかった。広い視野で感受性豊かに学びたいものだとつくづく思う。
半年前に頓挫した記憶がよみがえる。この100de名著シリーズで、西研さんが解説してくれているんだったら、西さんの解説は分かり易いので、このシリーズで読んでみたいと思う。
いつだったか読んだ記憶がある。映画でも観た。ラスコーリニコフが独善的で金貸しの老婆を殺害。罰にはおびえるが、罪は認めない。他者を失ったラスコーリニコフだが、大地にキスをして警察に自首する。最後の最後で生命の喜びに目覚めるという話だった。
1年前に読んだ。もっとも100分de名著シリーズでは読まなかったので、ここで解説されていたような感想は持てなかった。今一度、読み直す価値があることを再発見する。
18 『日本の面影』小泉八雲
ラフカディオ・ハーンが来日して最初に書いた紀行文。これそのものはまだ読んでいない。日本文化論として著名な一冊。原典でも100分de名著シリーズでもどちらでもよいので一度は目を通しておくべき一冊だと思う。
1年前に読んだ。優柔不断なハムレットが行動をためらうのは、中世から近代へ向かうに際し近代人としてのアイデンティティを確立しようとする人たちが不可避的にぶつかる問題、「理性」と「感情」の相克という近代人の宿命に根差している。河合祥一郎さんはハムレットは哲学であると。
20 『般若心経』 玄奘三蔵の262文字の漢訳 「色即是空」が有名 7年前に読んだ
21 『ファーブル昆虫記』ジャン=アンリ・ファーブル
8年前に読んだ。奥本大三郎さんの解説を通じて、この本はファーブルの思想や哲学ともいえるものが込められていることに気付かされた、単に昆虫の生態を記録した本ではなく私たちに生きる希望や力を与えてくれる人生論でもある、としている。
8年半前に読んだが、かなり忘れていた。
花と、面白きと、めづらしきと、これ三つは同じ心なり。
23 『武士道』新渡戸稲造
これも8年半前に読んだが、やはりかなり忘れていた。渡米中に書き上げ1899年(明治32年)にフィラデルフィアの書店から出版。「日本の魂」が副題。日本文化の考察を目的。主君のために尽くすことも、主君をいさめることも、両方とも「忠義」。忠義は服従と捉えがちが外国人の誤解を丁寧にただした。
24 ブッダ『真理のことば』
つい先日、佐々木閑さんの本を読んだ。『真理のことば』はまだ積読になっていたかもしれない。
他人の間違いに目を向けるな。他人がした事、しなかった事に目を向けるな。ただ自分がやった事、やらなかった事だけを見つめよ。
25 ブッダ『最期のことば』
真理や生きがいを追求するサンガのような組織は、それ自体では経済的に成り立たないため、その追及のありさまを徹底して情報公開し、非の打ち所がないくらい立派な姿を一般社会に示し、人々に理解を求めてお布施をいただくことで支えてもらう。こうした二重構造がブッダの組織論の中核。市民オーケストラや大学組織など。経済原理だけですべてを図り、文化や公共の利益の領域を切り捨てることへの警鐘を鳴らす。
26 『フランケンシュタイン』メアリ・シェリー
犯罪やテロに「邪悪なもの」とレッテルを貼り、切り捨て、単に憎悪の対象にするだけでは本当の解決にはつながらない、そう問いかけている作品。映画で見ただけで良しとしてしまったような気がする。
1年半前に読んだ。目に見えない大事なものは心で見ないと見えない。そんな当たり前のことに改めてハッとさせられたことをよく覚えている。
28 『枕の草子』清少納言
清少納言の観察力の鋭さと明るさはつとに有名だが、もう一つの魅力として優れたマナー集として読めるところをあげている。6年半前に読んだ時、そのことに気付いたかは忘れてしまった。
29 『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル
8年半前に読んだ。諸富祥彦さんはフランクルが人生の意味を思考する整理の手がかりとして「3つの価値」を示している(①価値創造②体験価値③態度価値)。創造価値や体験価値を奪われても態度価値だけは奪えない、どんな時でも人生を意味あるものに変えることはできるとフランクルは語る。そんなメッセージが含まれていたのか。。忘れてしまっている。
約五百の漢詩、約千四百の和歌を遺した。伊集院光さんは「自分自身についての観察日記」と表現。言語化に良寛自身も目を開かれていったのではないかと問いかける。
31 『老子』老耼(ろうたん)が有力説
老子→トルストイ→ガンジーの系譜を蜂谷邦夫さんは指摘している。以前読んだが、そんな繋がりを連想したことはなかったと思う。さすが、です。
「恕(思いやり)」が最も人生には大切だと語る孔子。もう少しで手書きで論語の書き写しがようやく終わりそうだ。手書きで書いたところで頭の中に簡単には定着しないが、努力だけは続けていこう。いつかは頭の中だけでなく心に沁みわたる時が来ることを信じて。