2021年10月20日第1刷発行
帯封「漫画家おかざき真理氏、推薦!『この本とは『阿・吽』を描く前に出会いたかった。美しい対決だ。』「究極の真理に至る道程には、言葉で解決すべき無数の問題が横たわっている。仏道を歩む者は、最後には言葉を捨てるとしても、それまでは言葉を使って正確に教理を理解し、言葉を使って高僧と問答をし、言葉を使って誰かを説得しなければならない。-本書より」
表紙裏「これは問答か、謗法か。いまから千二百年前、天台宗の最澄と法相宗の徳一が交わした批判の応酬は、質量ともに仏教史上まれにみる規模におよぶ。相容れない2人が、五年にわたる濃密な対話を続けたのはなぜか。彼らは何をどのように語り合ったのか。真理を求める論争を解きほぐして描く、仏教史の新たな見取り図。」
はじめに、で、奈良時代から平安時代にかわったばかりの九世紀初頭、最澄と徳一との間で、「三一権実諍論」「三一権実論争」が戦わされた。三乗説と一乗説のどちらが方便でどちらが真実の教えなのか。最澄は一乗が真実であり、三乗は方便だと主張、徳一は正反対の考えを持った。
要するに、法華経で全ての人が救われれるとする最澄と救われない人がいるとする徳一との間の論争である。天台宗と法相宗の法論であり、仏教史上最大の法論とも呼ばれている。