1995年8月1日初版発行
表紙裏「……三・一独立運動で犠牲になった一六歳の少女柳寛順にピントをしぼったが、果たして、彼女の無念の心情のひとかけらくらいは汲み取れたかどうか。それこそ火花のような短い生涯をたどりながら、私はあまりの痛ましさに胸のふさがる思いだった。本書がきっかけとなって、私たち日本人の心のなかに、柳寛順の名が刻まれることを願ってやまない。 (本書「あとがき」から)」
目次
1 ユガンスンてどんな人?
韓国の“ジャンヌ・ダルク”
両手を切られた少女
「大韓独立万歳!」
韓国民の強い反日感情
私の心に残る朝鮮人
テーマを決めた韓国の旅へ
2 ソウルの歴史の現場で
「アンニョンハセヨ!」(こんにちは)
日本支配の本陣、総督府庁舎
王妃は日本公使らに殺された
明治の「富国強兵」策から
日清・日露の戦争のあとに
3 ふるさとの青い空
ユガンスンの生いたち
やよいの空を仰ぎ見て
ユガンスンの墓へ
三・一独立運動のこと
並川(ピョンチョン)市場の大集会と柳寛順
烽火台から生家へ
4 堤岩里から独立記念館へ
丘の上の堤岩教会
「この子だけでも助けて!」
忘れていいものと悪いもの
あっと驚く独立記念館
衝撃的な拷問場面の再現
独房のなかのユガンスン
5 皇民化政策は戦争への道
日本の教科書問題から
「何にもかんも素っからかんよ」
元「従軍慰安婦」の姜さん
姜徳景さんの証言1
姜徳景さんの証言2
6 マンセーをさけびながら
ユガンスンの母校ヘ
ユガンスン記念室で
日本の刑務所あとへ
「あなたの一番目の夢は?」
ユガンスンは獄死した
三・一独立運動のパゴダ公園
自由に恋いこがれて
エピローグ 孫基禎さんと「日の丸」
・「独立記念館のうち第三展示館では、日韓併合条約によって日本がどのように朝鮮を武力侵略していったかの過程と、これに屈せずたたかった人びとへの暴虐の限りが紹介される。日本憲兵による拷問場面の再現もある。」ロウ人形で作られた日本憲兵の拷問の再現は迫力があるし、思わず目を背けたくなる。この本執筆時で3千万人が見たとのことなので韓国人の7割近くになる。小学生にも見せるというのだから反日感情が育つのは当然。しかし歴史は変えられない。今の日本人がかつて日本人が何をしたのかを直視せねば過去の問題は解決しないことを改めて思う。
・姜徳景(カンドツキョン)さんの証言は再現などできない。衝撃的過ぎる。
・柳寛順(ユガンスン)の叫び
「自分の国の独立を願って、なにが悪いというの。裁かれなきゃならないのは、人の国を奪ったあんたたちよ!日本軍と日本人はすぐに日本に帰れ‼」
こう叫んだだけで拷問でわずか16歳で殺されていった柳寛順(ユガンスン)。
独立記念館には獄中の柳寛順(ユガンスン)のロウ人形が展示されている。
写真が沢山掲載されていて、言葉で伝えるだけでない強烈なインパクトを持つ本だった。