還流ドラマ傑作選 愛のことば 監修 康煕奉 著 西牟田希

2013年5月20日初版第1刷発行

 

裏表紙「冬のソナタの大ブレイクから10年、韓国ドラマはすっかり期待を裏切らない

作品に。日常に欠かせないエンターテインメントとして定着。

数々の名作・傑作が生み出され、日々新しいヒロインやスーパースターが誕生。

ペ・ヨンジュンから始まった日本でも注がれる愛のメッセージも

さらに深くなり、多くのファンを魅了している。

絡み合う関係の中であふれ出る愛の物語。

美しく紡がれる名言と力強い人生には、たくさんの勇気が宿る。

あなたが選ぶ魅力を堪能できるベストセレクション。」

 

目次

はじめに

第1章 勇気をくれるヒロインの愛

「華麗なる遺産」―人の縁は血で結ぶものではない。心で結ぶものだ

私の名前はキム・サムスン」―人生ってこんなもんよ。今日は食べて明日からまたがんばろう

コーヒープリンス1号店

私の期限は49日

「私の心が聞こえる?」

第2章 笑って泣ける珠玉のラブ・コメディ

「屋根部屋のプリンス」―泣くな、これからはいい思い出だけができる。

「シークレット・ガーデン」―きっと君が恋しくなる。愛してる。

美男ですね

「宮~Love In Palace」

第3章 愛と憎しみが渦巻く人間ドラマ

赤と黒」―あなたに出会ったこと後悔してないわ。ひさしぶりにときめいた。;

「赤道の男」―自分が幸せになるのも復讐よ

「パリでの出来事」

「ごめん、愛してる」

第4章 初恋のきらめきをもう一度! 純愛ドラマの傑作

冬のソナタ」―心を縛ったまま人を愛せる?世界はこんなに温かくて美しいのに。

春のワルツ」―愛していいですか?許してください。

天国の階段

「ラブレイン」

 

・ストーリー自体、とても面白い。愛する父を突然爆発事故で亡くし、継母が保険金を一人占めしたことを隠して、留学先から帰った直後の主人公のヒロインと弟を追い出す。自閉症でピアノの才能を持つ弟と二人暮しを始めた矢先、継母が弟に住所を知られたことで弟を勝手に遠くの施設に置き去りにし、ヒロインは弟探しを始める。道端で餃子を売り糊口を凌いでいたある日、老婦人が同じように饅頭を売っていたが、階段から転落して大怪我をする。病院に行き命を取り留めるも記憶喪失となりヒロインと狭い部屋で二人暮しを始める。途中で記憶を取り戻した老婦人は一から美味しい料理を出す大きな企業に成長させた社長だった。息子を事故で亡くし孫と一緒に暮らしていたが、ボンボンで金に物を言わすいけ好かないヤツだったため、孫を自立させようとして、ヒロインの弟を捜し見つかるまでヒロインを自宅に呼び寄せて同居生活が始まった。家族から大反対されて冷たい仕打ちをうける中でも健気に頑張る姿のヒロインの影響を受けて孫が少しずつ変わっていく。老婦人は遺言書を書き改め業績不振の2号店の売上を2か月で20%アップさせるのを条件に全ての遺産をヒロインに遺贈すると家族の前で宣言する。ヒロインに好意を寄せる男性が現れ弟探しのためにビラを作ってくれたりヒロインが足を怪我すると朝の牛乳配達を替わってくれたり就職祝いの為に自転車を買ってくれたりした。孫が次第にヒロインに感化を受けて接客すら態度が悪くて出来なかったのが別人のように大人になって行く。ヒロインと孫の二人で2号店の再建に懸命に取り組む中、二人の仲は急接近し、孫はヒロインに恋する。孫は金に物を言わせた当初、ヒロインと喧嘩ばかりしていたのが嘘のよう。いつしか孫自身が7歳の時に自分を庇って父親が交通事故で死んでしまった心の傷をずっと隠したまま生きていたことを知り、ヒロイン自身、孫のことに理解を示していく。老婦人の社長が2号店再建のニュースを聞いた直後に社内紛争が起こり、社長解任に追い込まれる中、孫とヒロインが社員のことを誰より大事にする社長の事を訴えて少なからぬ支持を取り付ける。ヒロインに好意を寄せた男性が最後の勝敗を分けるキーマンだった。男性の父は会社の重役をつとめ、解任劇の張本人。事業拡大のためには社長の遺言や方針に反対していたので、自分でなく息子に会社の株を持たせて社長解任に協力させようとした。男性は父が会社で不正な経理処理で裏金を作っていることを知らされ、協力しなければ父親が身の破滅になると脅迫されて投票権行使の当日、迷った挙句に投票会場に顔を出す。しかしヒロインと孫の真っすぐな態度を見て不正を働いた父に協力できないと考え直して投票を棄権。その結果、解任議題は否決された。ヒロインの父は実は死んでおらず、しばらくして娘や自閉症の息子に会うために継母の前に姿を表した。が継母は嘘を言い続けて両者の関係を裂き続けた。継母の娘は孫のことが高校時代から好きで7年間ずっと追い続けていた。彼の信頼を失いたくないばかりにいつしか継母の悪事に協力する羽目になり、継母と一緒になって、ヒロインを詐欺同然のように老婦人や孫たちに嘘を付くようになる。継母は窮地を逃れるために自閉症の弟と一緒にヒロインをアメリカに旅立つよう仕向け、直前で弟が逃亡したために計画が頓挫。理由を言えずに社長や孫に黙って空港から旅立とうとしていたところに、孫と、ヒロインに心を寄せていた男性が父親を連れて現れ、しかも孫が弟が近くにいてバーでピアノを弾いていたのを知って弟を連れて帰った。これにより継母と娘の全ての悪事が一気に暴露された。継母は娘から攻められ、生きる希望を失い自殺しようとするところに娘が今や愛してくれる人は母しかいないと泣き叫び、母の命を救う。父は社長から社員寮の建設を託され、ヒロインは弟を連れて留学を再開させて弟をピアニストにすると決意。孫としばらく別れることになるが、孫は祖母が認知症になったので祖母想いの孫で記憶を埋め尽くしてやりたいと一緒に留学についていかず、今まで通り祖母の会社で働く。老婦人の社長はヒロインが財産を譲り受けることを拒絶したので、家族でなく、全社員に株式を分け与えた。継母の娘も孫への想いを断ち切り、母と一緒に慎ましい2人暮らしを始め、大学院への進学に向けてアルバイトを開始した。孫はヒロインが留学を終えて帰国するのを待つと決意し、父と最後に釣りに出掛けた想い出の場所にヒロインと一緒に出掛ける。祖父も脳梗塞で倒れ意識不明の時に孫から告白されたことを思い出し、孫が抱えていた心の闇を受け止め、孫も隠していた話を祖母に出来たことで全てが前向きに展開していく。

最高視聴率47パーセントを記録し、全ての韓国人を元気にした現代版のさわやかなラブストーリーでした。何より、相手が何を感じて、どういう想いで自分に接してくれているのかに想いを巡らせ、その想いに応えられない時に示すヒロインの心の動きを見事に描いたところは俊逸です。ヒロインのように常に周囲の人達への心配りを忘れない態度こそ、最も学ばねばならないと、本当に学んだ作品です。本作品のヒロインのハン・ヒョジュはトンイでも最高の演技を披露してくれましたが、どちらも最高でした。深く感謝します。

 

本書の感想でなく、「華麗なる遺産」作品に言及するページとなりました。