帝王 私の履歴書 ジャック・ニクラウス 春原剛・訳

2006年8月24日1版1刷

 

・1940年1月21日オハイオ州都コロンバス生まれ。自分にとって最も大切なものは家族で、次がゴルフ、三番目がビジネス、最後に個人的な趣味や楽しみだ。世界最強のアマチュア・ゴルファーとなった時、プロに転向するか迷った。プロとアマチュアの最大の差は競争の質の差。師のボビー・ジョーンズや父はプロ転向にいい顔をしなかったが、プロになりたいという気持ちが暴れてプロ転向を決めた。私の代名詞「ゴールデン・ベア」はプロ転向を発表した時につけた。商標となり、会社の名前ともなった。良きゴルフコーチの条件とはどのようにすべきかを教えるのではなく、なぜそうなるのかを教えられること。ゴルフ・スイングは十人十色だ。一人として同じスイングをする人はいない。基本に返ることが大事だ。最初の師グラウトは、私がゴルフ・マガジン誌が決めた二十世紀のゴルファーに選ばれニューヨークでの授賞式を終えた数日後に「この世界で最も偉大なことはスポーツにおいて素晴らしい結果を残すことだと思っていた。しかし、考えをめぐらせた結果、それよりも偉大なことはスポーツマンシップを極めることだと悟った。君の両親はその事を君に教え、だからこそ君はこれまで勝つことが出来たのだと思う」と手紙を送ってくれた。メジャー18勝の記録を塗り替えることが出来るとしたらタイガー・ウッズ以外にはないという見方は間違っていない。彼は今中間地点にいる。

私の履歴書に取り上げる初の外国人アスリートとして適任なのはプロゴルフ界の帝王と呼ばれたジャック・ニクラウス氏は適任だった。パワーだけでなく、知性、戦略、忍耐、そして時に深い人間性をも必要とするところにゴルフの醍醐味があり、ニクラウス氏のようにゴルフを人生と重ねる人も多い。2005年に引退した氏は優勝回数(世界)で113を数える。