私の頭の中の消しゴム 2005年 監督イ・ジェハン

紳士服会社に勤めるスジンソン・イェジン)は建設会社の社長令嬢。紳士服の職場で職人の手配を父に頼むと、以前コンビニでコーラをタダ飲みされ、工事現場で出会ったチョルス(チョン・ウソン)がやって来た。帰り道、スジンがひったくりの被害に遭うと、彼はオートバイの運転手から荒っぽい手段でカバンを取り返し、自分の車で彼女を送り届けた。彼女はチョルスのことが気になり、間もなく二人は恋人に。父親に紹介しようとする彼女の誘いにチョルスは応じなかった。立場が違い過ぎるからだった。ある時、彼女は彼と食事している時に両親を呼び出すが、気詰まりな雰囲気に耐えきれず彼女はストレスで倒れる。チョルスは彼女を抱えて病院に行き、彼が彼女を大事にしているのを見た父は娘の想いを理解し結婚を認める。結婚式を済ませたふたりは幸せな生活を送り始め、チョルスは建築士免許も取得する。すべて順風満帆だった。がスジンは物忘れがひどくなり家への帰り道も忘れてしまうほどだった。病院に行き、以前不倫していた男性と駆け落ちの約束をしたのに男性が現れなかったことや男性の妻から攻め立てられて強いストレスを抱えているのが原因ではないかと言われるが念のため検査を受けることに。スジンはチョルスの大工の師匠に会い、チョルスが母を赦していないと聞く。チョルスは母に捨てられて以来、自分に母はいないというが、スジンは許すことは苦しいかもしれないけど、心に一部屋空けるだけだと言って彼を説得して刑務所に会いに行く。チョルスの母は刑務所に訪ねてきた息子を罵倒するが、彼は母の借金を代わりに支払ったため一文なしに。スジンの元不倫相手が海外から戻ってきた。検査の結果、スジンアルツハイマーと診断される。医師から少しずつ記憶が消えていく、肉体的な死より先に精神的な死がくるから準備するように言われ、ショックを受ける。突然仕事を辞めると言い、弁当箱におかずを入れ忘れるスジンを心配した彼は一人で病院に行き病名を聞き驚く。そのころ会社に向かおうとするスジンは途中で座り込み警官に保護される。そんな時に元不倫相手と出くわすが、おかしなことを口走る。スジンはかつて一緒にチョルスと行ったバッティングセンターに行き、そこにチョルスが迎えに来ると、スジンは病院に行ったかと聞き、「頭の中に消しゴム」があるから、別れようと言う。しかし彼は魂は消えないから自分に任せてと言い、彼女の手を握る。部屋の中はチョルスの書いたメモだらけに。会社の私物を持ってきた元上司にスジンは結婚していることを忘れて捨てないでと縋る。ちょうどチョルスがその現場を見てしまい元上司を半殺しの目に遭わせる。そこに両家の家族が現れスジンの父はチョルスに娘の世話は無理だと言う。チョルスは自分がスジンをみると答え、皆の前で失禁する妻の世話を必死でやる。時が過ぎ、スジンは元上司の名でチョルスを呼び、愛してると言うように。チョルスは笑顔で自分もだと答え、涙を流す。最近のことから記憶が消えていくと分かっていても、チョルスはスジンが愛しているのは昔の恋人ではと思ってしまう。ある日、様々なことを思い出したスジンは「愛するチョルス」と書いた手紙を残して姿を消す。彼女は記憶が確かなうちにチョルスだけを愛していると書いた。いなくなったスジンから再度届いた手紙の消印はカンヌン市だった。探すな、私も忘れるから貴方も忘れて幸せになってねという手紙だった。チョルスがスジンのいる療養施設に着くと、スジンはチョルスの顔を描き続けていた。それでも自分を思い出せずにいるスジンに、チョルスは初めましてと挨拶する。チョルスは涙を隠そうとサングラスをかける。コンビニに連れていくと、そこには病院の医師や師匠やスジンの両親や妹、更にチョルスの母がいて、ここは天国ですかとスジンは尋ねる。チョルスは車に乗せて彼女に初めて「愛してる」と口にし、スジンは彼を抱きしめる。