椿の花咲く頃(全20話)その1 2019年 脚本イム・サンチュン

冒頭でゲルマニウムブレスレットを装着した女性の遺体が湖で発見された。場面は6年前に切り替わり、オンサンという小さな町に美人のドンベクが小さい子を連れて引越してきた。椿の英語カメリアという名のスナック(飲食店)を始め、町の男達はドンベクに魅了され、カメリアは居心地のいい男達のたまり場になる。女房達はドンペグが面白くない。6年が経ち、息子ピルグは小1になり野球好きな少年に成長した。ヨンシクは高校生の頃から正義漢が強く悪人に立ち向かい数々の表彰を受けるが、トラブルメーカーでもあった。そんなヨンシクはオンサンで警察官として働く。カン・ジョンニョルは人気の野球選手だが、妻ジェシカと仲が悪く乳飲み子の娘はジョンニョルが見ていた。町では5年前に5人を連続して殺害する事件が起きた。「ふざけるな」と書いたメモを残した犯人ジョーカーは未だ逮捕されていない。ヨンシクはドンベクに目惚れ。カメリアにはヒャンミという女性バイトがいるが、手癖が悪い。郡守を夢見るギュテはオーナーの権威を笠に着てドンベクの手を握ったりセクハラまがいのことを繰り返していたが、ドンベクは代金の中に私の手首と笑顔の代金は含まれていないというのを傍で聞いたヨンシクはドンベクにますます惹かれる。一部代金を踏み倒そうとしたギュテにヨンシクは財布を奪って支払いをする。再び冒頭のシーンに戻り、女性の遺体の白布をヨンシクがめくると涙に濡れた。遺体のポケットには「5年前にも言ったはず。ふざけるなと」との付箋が。財布を奪われたギュテが告訴すると息巻く。ヨンシクの母ドクスンは夫に先立たれ3人の息子を女手一つで育てあげた。町の会長だったドクスンはドンベクを味方してくれた。ジョンニョルが母校のオンサン小学校に訪れ、ドンペグと再会する。ドンベクはジョンニョルの元彼女で、息子のピルグはジョンニョルの子だった。彼は子がいるとは知らず驚く。ドンベクは夫と幸せに暮らしてると嘘をつく。彼女が身に着けているゲルマニウムのブレスレットは彼がゲームで手にした景品だった。ヨンシクはドンベクに友達になりましょうと申し出た。ジョンニョルがカメリアへ飲みに行った際、ドンベクはヨンシクが夫だと思わせるため咄嗟にヨンシクの手を握った。カメリアの壁に大勢の客が落書きをし、その中には「ふざけるな」と書くものがあった。2人が手をつないだことが街中の噂になる。ギュテの妻ジャヨンは情けない夫に告訴を諦めさせた。記者が街にジョーカー事件の取材に訪れ、ジョーカー事件の唯一の生存者ドンペクを探り当てた。アルバイトのヒャンミから尊敬していると言われたギュテはその気になりヒャンミをデートに誘う。店をギュテから借りていたドンペクは落書きを消すよう言われ、ヨンシクがペンキ塗りを手伝うと、「ふざけるな」という落書きを見つけ、捜査資料からジョーカーの筆跡がそっくりだと分かると、ヨンシクはドンベクを心配し、あなたを守ると宣言した。店の落書きには2013年7月9日と日付けが書いてあった。深夜に誰かが店に忍び込み、「ふざけるな」の文字を焼き消した。ジョンニョルはピルグを不憫に思い奨学金の名目で野球の出張に行けるように配慮した。ヨンシクはドンベクが大好きだと街中で宣言するが、ドンベクはヨンシクが会長の息子だと知って、親友を失う覚悟をした。ドンペグがヨンシクに、会長に会わせる顔がないからもう来ないでと頼むが、ヨンシクは「あなたは誰よりも強くて素晴らしい人です。誰よりも立派です」と褒め、ドンベクは「本当に好きになったらどうしてくれるの?」と泣く。ギュテとヒャンミが水上スキーに遊びに行くが車の故障で朝帰りになってしまい、妻ジャヨンはカードの明細から夫の不倫を疑う。ドンペグはかつてジョンニョルと大恋愛し、ジョンニョルの母から病原菌と言われたことがあった。会長はヨンシクにドンベクとの交際を反対するが、ヨンシクは彼女が好きでたまらない。ドンペグはジョーカーが殺人事件を犯した現場にいた。エステのマシンの中にいたが、うまく開かなかったために命拾いをした。身元が分からない女性の老人が身柄を確保された。彼女は27年前にドンベクを捨てた実母だった。母を迎えに行くドンペグ。今度は自分が母を捨てようと思う。ヒャンミはギュテにモーテルの部屋を取らせ、一緒にいる写真でギュテを脅し、金をせびり始めた。ドンベクの誕生日は捨てられた日だった。カメリアにやってきたギュテがドンベクにくだを巻いたためにヨンシクがギュテに飛び蹴りを食らわせ怪我を負わせた。ドンベクは店の床に貼られた矢印をたどると椿の花が咲く場所に案内されケーキが飾られていた。メッセージを読んだドンベクはヨンシクを助けるために業務日記を片手に警察に行き、過去のセクハラが事細かに記されたノートを読み告訴すると宣言した。遺体の身元が明らかになったと所長から報告を受けるヨンシクが「ウソだ。死ぬなんて」と呆然として呟いた。会長とドンベクが2人で話し、ドンペグに「何度も会って、それでも好きだと言うなら、またそのとき話そう」と言う。ドンベクはヨンシクに「一気に燃え上がろうとせず、ゆっくり温まりましょう」と言い、ヨンシクは涙ぐむ。エステサロンが入ったビルをギュテが安く買った後に儲けたことでヨンシクはギュテがジョーカーではないかと疑う。ドンベクはジョンニョルに親ばかを演出する番組を降りてほしいと頼む。カメリアの店にヨンシクが友人のフンシクを連れて防犯カメラを設置。ヨンシクがドンベクを誘って屋台で食事をした後に店に帰ると、壁に「ふざけるなと言ったろ。おまえを毎日見てるぞ」と大書きされていた。防犯カメラを設置した翌日の出来事でしかも死角を利用しているため犯人は間違いなく店を熟知している人物。ドンベクはドアベルが鳴るたびに震えた。店を移転させなければならなくなるが資金もなく途方に暮れていたところにジョンニョルはアワビと一緒に現金を渡した。ドンベクはヨンシクに街を離れると言う。店でドンベクに言い寄るジョンニョルの姿を見たヨンシクはドンベクに自分で決めてと言うと、ドンペグはヨンシクを選んだ。ドンベクはいじめに遭うのはナメられる態度を取るからだと気付き、もう逃げないと言い、ヨンシクは愛らしくてたまらないと叫ぶと、ドンペグはヨンシクの頬にキスする。ヨンシクもお返しだと言って初めてキスをした。ドンベクは宅配を始めた。ピルグは自分だけに特別に優しくするジョンニョルが自分の父だと気付き、なぜお母さんを1人にしたのか理解できないと非難した。ジェシカはジョンニョルが週3回もオンサン小に行っているのを知り、小学校に行くと、ドンベクと出会う。ドンベクの母から背中を押されてヨンシクが2人の前に現れ、手を差し出してドンベクを連れ去った。猫に餌を与えた人物にヒャンミが声を掛けた。場面が再び遺体発見時に戻る。財布の中の身分証から本名はチェ・ゴウンだと分かる。ドンベクの母はドンベクの印鑑が見つからないので、寝ているドンベクの指に朱肉をつけて何かの書類に押印させた。ピルグの野球の試合の時にドンペグは応援に行きたい気持ちを抑えて我慢してきた。自分がかつて施設の子だといじめられた経験をピルグにはさせたくなかったからだったが、ヨンシクは一緒に応援に行ってピルグのために一肌脱いでピルグとの関係も少しずつ改善していった。ヒャンミはお金の工面をもうこれ以上はできないと電話先に相手に伝えた。ヒャンミはドンペグと同じく仲間外れにされたスナックのママの子だった。ヒャンミはジェシカに、ジョンニョルの浮気を広められたくなければ3000万ウォンを払えと脅す。直後にドンペグがジョンニョルから貰った現金を冷蔵庫から盗み、コペンハーゲンに送金し、そっちへ行くと伝えるが相手は来るなと言う。相手は不遇な子ども時代を一緒に過ごした弟だった。カネを作り続けた姉を弟は家族と思っていなかった。カネが無くなったのに気づいたドンベクだったが、そこにジョンニョルが現れピルグを巡ってドンペグと口論になるが、それを会長が聞いてピルグの父ジョンニョルが店に来ているのを知り、これ以上息子を苦しめないでとドンベクに怒りをぶつけた。