スカラムーシュ ラファエル・サバチニ 加島祥造訳

スカラムーシュ(道化)演じるアンドレ・ルイ・モロー(弁護士)が、フランス革命の前夜、親友の命を奪ったダジール侯爵に対し、復讐を遂げようと、その雄弁の才能を最大限に発揮しながら、ある時は喜劇の団員に混ざって道化を演じ、ある時は剣の道場で剣士の腕を磨き、そしてある時は第3階級の議員として、ダジール侯爵の前に現れ、決闘を挑む。その中で、育ての父親との親子の愛情、共に育てられた幼馴染のアリーヌとの恋心の行く末、更に劇団の看板女優クリメーヌとの関係、そしてダジール侯爵とクリメーヌの関係がもつれていき、最後に育ての親ケルカディウ公の従妹でありフランス王室に仕える貴族のブルゥガステル伯爵夫人の存在と、ダジール侯爵との関係が全て明るみにされ、一種のどんでん返しで終わるという結末。2度目の読了。1度目よりも味わい深く読むことができた。