黒猫・黄金中 エドガー=アラン=ポー 松村達雄・繁尾久/訳

2010年12月16日第1刷発行

 

黄金虫

 冒険小説であり、暗号解読小説でもある。羊皮紙は熱に当てられると地図や文字があぶり出てくる性質があり、それを元に財宝を150万ドルの財宝を手に入れるというお話。ポーの代表作の一つである。

 

黒猫

 怪談、怪奇小説。可愛がっていた黒猫を殺した主人公の下に、よく似た黒猫が現れ、夫婦そろって可愛がるものの、夫は酒におぼれ、妻を地下の壁に埋めてしまう。警察が捜索にやってくるが、何とか誤魔化しきれたと思いきや、地下から声が聞こえて妻の死体が発見され、そこに黒猫も一緒に埋め込まれていたのが発見された、というお話。黒猫による復讐劇。黒猫のお腹の毛に絞首台の形が現れ、殺された黒猫の復讐を予感させる薄気味悪さを漂わせている。

 

モルグ街の殺人

 歴史上初の推理小説(1841年)。探偵デュパンが見事な推理を働かせて意外な犯人を炙り出していく。モルグは死体安置所の意味。

 

ぬすまれた手紙

 人の盲点を突いた推理小説。完成度が相当に高い。パリ警視総監が血眼になって邸宅中を探しても見つけられなかった大事な手紙を、探偵デュパンが警察の常套手段では見付けることはできなかったのに間違いないと考えて、警察が見落としているに違いない所を探して見事に大事な手紙を発見して、偽物の手紙とすり替えたというお話。

 

おとし穴と振り子

 SAWの映画を見ているような怪奇性がある。異端審問官に裁かれて死刑宣告を受けた囚人を真っ暗闇な牢に閉じ込め、手探りで移動すれば、落とし穴にハマって水で溺れさせるように設計されており、運良く落とし穴にハマらなかった時は僅かに与えたパンの中に眠り薬を入れて囚人が寝ているうちに台の上に固定して天井から鋭い大きな刃をもった振り子が次第に降りてきて囚人を真っ二つに切り刻む。切り刻まれる直前にラサール将軍が助けに来てくれてこの囚人は助かるというお話。